ゲートキーパー規制の法制化に反対する決議

2006/05/27
決議の趣旨

静岡県司法書士会は、ゲートキーパー規制の法制化の動きを重大な関心をもって見守り、これが、市民の権利・利益を侵害するものであることが明らかになった場合には、市民に対しその危険性に関する情報を幅広く提供するとともに、市民の権利・利益を侵害する法案に反対する活動を展開する。

平成18年5月27日
静岡県司法書士会 第85回定時総会

提案理由
  • 1.1996年に改訂された、マネー・ロンダリング対策のための勧告(OECD諸国等政府間協議に設置された金融活動作業部会による)では、マネー・ロンダリング対策のための報告義務を負う者を、金融機関のみならず、金融取引等のいわば門番(=ゲートキーパー)でもある弁護士等の専門職にも拡大し、現在各国に対して国内法の整備を求めるものとなっている。
  • 2.当初、日本では組織的犯罪対策法の中に疑わしい取引についての金融機関の報告義務を定めて法制化していたが、今般政府は、2003年の大幅改訂を受けて、一定の特定業務について弁護士等の専門職に対しても、警察等の捜査機関に対して「疑わしい取引」についての報告義務を法制化し、2007年の通常国会において、報告義務を刑罰をもって強制する内容を含む当該法案の成立を目指している。
  • 3.本報告義務の対象となる一定の特定業務として例示されているのは、以下の業務であるところ、我々司法書士の日常業務と直結する業務が数多く含まれており、政府は、弁護士のみならず司法書士もこのゲートキーパー規制の対象となるという見解を示している。
    ア (150万円以上の)不動産の取引
    イ 依頼者の金銭その他の資産の管理
    ウ 銀行口座等の管理
    エ 会社の設立等に関する出資金のとりまとめ
    オ 法人等の法的機構の設立並びに事業組織の売買等
  • 4.我々司法書士の法的事務は、委任契約を締結する依頼者との間の信頼関係を前提とし、我々司法書士が業務上知り得た事実に関する守秘義務を貫徹すること(司法書士法24条・司法書士倫理10条)、法律家として依頼人の権利保護のために最善を尽くすという誠実義務を貫徹すること(司法書士法2条・司法書士倫理2条・同23条・同24条等)などを基礎として形成されるところ、本法案が導入されれば、経済的自由権又はプライバシー権といった依頼人の憲法に基づく権利が保護されず、司法書士制度を利用する依頼者(一般市民)の権利・利益を侵害することになる可能性が高い。
  • 5.よって、我々は、ゲートキーパー規制の法制化の動きを重大な関心をもって見守り、これが、市民の権利・利益を侵害するものであることが明らかになった場合には、市民に対しその危険性に関する情報を幅広く提供するとともに、市民の権利・利益を侵害する法案に反対する活動を展開するとの決議を求める次第である。

以 上