景品表示法における課徴金制度導入に関する意見

2014/09/05

当会は「不当景品類及び不当表示防止法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(仮称)の概要」(以下、「課徴金概要案」という)に対し、次のとおり意見を申し述べる。

【1】意見
1 意見の要旨
(1)課徴金制度を導入することには賛成する。
(2)課徴金概要案1(2)アにおいて、乗じる率「100分の3とあるのは「100分の10とすべきである。
(3)課徴金概要案1(7)(Ⅰ)柱書の「課徴金算定の基礎となる「売上額」の算定期間における」を削除すべきである。

2 意見の理由
(1)意見の要旨(1)について
ア)独立行政法人国民生活センターの報告によれば、2013年度における消費生活相談総数は93
7899件とのことだが、この数字は、契約による被害または契約に対する苦情を抱える者全体のわずか2.9%にすぎないとのことである。すなわち、行政によって認知された被害・苦情件数は、実際に発生している被害・苦情件数のわずか3%に過ぎないといえ、現実には膨大な数の消費者被害が発生しているのである。
このような、いわば救済されない消費者をいかに救済するかという観点としては、消費者裁判手続特例法の早期施行が待たれるところであるが、一方で、消費者被害を発生させないための法的仕組みを構築することも不可欠であり、そのためにも課徴金制度の導入は急務と考える。
イ)ところで、技術革新、物流の発達、製造と消費の分離等に端を発した事業者と消費者間の情報や能力の格差は、年々広がるばかりであり、消費者に対して事業者の不当表示の看破を期待することは、もはや「酷」というほかない状況にある。
ウ)消費者が事業者と契約締結に至る発端としては、紙、テレビ、ラジオ、ネットなどあらゆる媒体を通じた「広告」が最も一般的である。しかし、その広告に不当表示がある場合、前記イ)のとおり消費者は当該表示を不当と見抜くことが困難である。その結果、不当であることが発覚した時点で既に被害が相当数に及ぶような事態は、これまでにも多数発生しているのである。
エ)そこで、客観的事実に基づいた広告、言い換えれば「落ち着いた」広告制度が確保されることは、消費者の自由意思による適正な選択に資するだけでなく、もって市場の健全な発展にも大きく寄与するものと思料する。
それらの実効性を担保する措置としても、課徴金制度は有意義であると考える。

(2)意見の要旨(2)について
不当表示が社会問題になった事件であって、事業者から消費者に返金がなされる場合、消費者が商品を消費してしまっていたり、または役務が提供済みであったりしても、それらを清算することなく、商品代金または役務の対価の全額が返金されることが多いと思料する。
そのような返金がなされる場合と比較したときに、対象商品または役務の売上額の100分の3という率は、あまりにも低すぎると考える。もちろん、課徴金と被害者に対する返金は次元の異なるものではあるが、後者の完遂困難性(特に所有者情報を持たない商品または役務が対象となった場合など)を考慮すれば、事業者側にモラルハザードをもたらしかねないと考える。
したがって、乗じる率は少なくとも100分の10と定めるべきである。

(3)意見の要旨(3)について
課徴金概要案1(7)(Ⅰ)柱書の「課徴金算定の基礎となる「売上額」の算定期間における」の制限は、課徴金とは次元の異なる民事的な被害回復に悪影響を及ぼしかねず、まったく無用であると考える。

(4)追記
なお、課徴金概要案に言及されていない事項として、いわゆる広告主だけでなく、広告の媒体者も課徴金の対象に加えるべきである。