東日本大震災被災地区司法書士会の皆様におかれましては、被害状況の把握と共に復旧作業に努められる日々を送っておられることと推察致するところであり、そのご心労を拝察するに心苦しく切ない思いをしております。

静岡県司法書士会は、被災された皆様及び被災地区司法書士会の復興への活動をしっかり支援できるように、そして、被災者の皆様が一日も早く安心した生活が取り戻せるように、平成23年3月12日に設置された静岡県司法書士会東日本大震災災害対策本部を中心として、日本司法書士会連合会並びに全国各地の司法書士会との連携を強化し、被災地域の復興に向け出来る限りの尽力を果たしていく所存です。

さて、改めて現在の社会状況を鑑みるに、これまで長期にわたって吹き荒れていた制度構造改革の嵐が一段落し、その成果を社会全般に定着させる安定期が迎えられるものと考えていたにも拘らず、民主党菅内閣政権下において政局は定まらず、政府の政策も紆余曲折を繰り返すのみで、安定した社会形成には程遠いことを実感させられております。時代の変革を求めるうねりは未だ止むことがない状況下にあることを痛感しているところです。

このような不安定な社会情勢であるが故に、市民の法的ニーズは、広範に、且つ、深いものとなってきております。そして、その矛先は私たち法律専門職資格者に向けられてきているのが現状です。社会の要請に応えてこそ存在意義のある専門職資格者であることから、当然のことと思慮するところです。

このニーズに「応え切れない。」とメッセージした途端に、古くからの歴史を持ち大いなる社会貢献を果たしてきた司法書士であっても、経済社会と云うステージに留まることが許されなくなることは自明の理でありましょう。

司法制度の一翼を担う法律専門職たる司法書士にとって、如何に法の豊饒化に寄与できるかが今後の制度発展への大きな試金石となるものであり、そして、その実現へ向けた尽力こそが司法書士に課せられた職責と捉えなければなりません。市民社会から私ども司法書士に求められているのは、あまねく法的紛争に対し、必要な情報やサービスの提供が円滑に受けられ、等しく法の理念を享受できる社会の実現に向けた取り組みと云えます。

先般、日本司法書士会連合会臨時総会において「司法書士法改正大綱」が承認可決されました。
今後、連合会を中心に司法書士法改正に向けた活動が急ピッチで展開されることとなるのでしょうが、これこそ社会状況をしっかり見据えて将来像を語るべきものであり、要求のみに終始し、市民のニーズと乖離した司法書士像を提示したならば、社会から見放され、瞬く間に制度は衰退してしまいます。「司法」の担い手であることの自覚を以って、市民の期待に対し十全に応えていく更なる姿勢を示していきたいものです。

静岡県司法書士会は、東日本大震災被災者への対応をはじめとする各種の活動におけるその具現化たる実績の積み上げに、今まで以上に努力を惜しまない姿勢を貫き、市民社会の要請に精一杯応えていく所存でおります。

また、混沌とした中にも急速な社会環境の変化にしっかり対応すべく、情報収集整理を怠らず、適切な素早い対応が可能となる高い組織的機動力を培い、より機能的な、そして開かれた会務執行体制構築に尽力してまいります。

会員各位におかれましては、今後も引き続きまして司法書士会活動へのご理解ご支援のほどを宜しくお願い申し上げます。

重点事項

  • 1.不動産登記業務の環境整備
  • 2.商業登記所集約化後における商業・法人登記業務の環境整備
  • 3.簡裁訴訟代理等関係業務の受任推進
  • 4.成年後見制度の普及促進へ向けた対応
  • 5.消費者問題等への対応
  • 6.研修制度の充実
  • 7.市民権利擁護事業の推進
  • 8.隣接士業者団体・行政機関等との連携、協働
  • 9.「日本司法支援センター(法テラス)」との連携
  • 10.「司法書士総合相談センターしずおか」の事業推進
  • 11.「静岡県司法書士会調停センターふらっと」の運営
  • 12.民事法律扶助制度の活用推進
  • 13.司法書士制度広報の推進と情報公開
  • 14.支部活動への支援体制強化
  • 15.会務財政の改善に向けた施策の検討
  • 16.東日本大震災被災者支援事業

総務部

1.会則・諸規則・会務財政の検討
  • 完全定額会費制移行に向けて、以下の作業を行い、平成23年度定時総会への上程を目指す。
    (1)関連規定の整備
  • 会則、証紙等に関する規則、会館管理運営規程、経理規程、会館特別会計規程、事務局執務細則等
    (2)定額会費減免規定創設の検討
    (3)完全定額会費制移行時における証紙取扱いの検討
2.会員の執務・品位保持・紛議処理に関する事項、非司法書士排除活動への取り組み

新たに苦情対応専門部署を設置し、一つの苦情案件につき、複数の担当者が対応することで、苦情対応の迅速性及び透明性を高める。

3.被災地復興支援への取り組み及び災害時危機管理体制の整備

東日本大震災における被災地への復興支援活動に取り組み、今般の一連の対応を検証して、当会の危機管理体制の一層の充実を図る。

  • 4.会員の登録に関する事項
  • 5.事務局の運営及び会館管理、事務局体制の効率化
  • 6.他団体との情報交換並びに交流
  • 7.業務賠償責任保険の維持・管理
  • 8.住宅金融支援機構等の承継登記にかかる事務管理

経理部

  • 1.本会会費(定額会費並びに業務会費)の適正な収入の確認と事務局における管理
  • 2.特に業務会費(証紙の売り上げ)納入について、会員への証紙の購入の励行を促進すること
  • 3.各事業支出(各部会・委員会等)の適正な執行状況の把握と確認
  • 4.各管理費(特別会計支出を含む)の適正な支出の把握と確認
  • 5.完全定額会費制移行に向けての適正な会費制度の検討

企画広報部

1.対外広報の充実と「広聴」制度の検討(広報事業)

ホームページ、ニュースレター(年4回発行)、HO2(年1回発行)、「ま・も・る」(年1回発行)の各ツールを通じて行う対外広報は、「より見やすく」「より分かりやすく」をコンセプトに平成23年度もさらに拡充していく。

平成22年度から検討を始めた「広聴」制度については、市民モニター制度のような大がかりな制度を導入するのではなく、平成22年度のHO2やニュースレター(4月発行号)のように、当面は、市民や関係者だけでなくマスコミ等も含めた幅広い層の意見を当会から積極的に取材し、頂いた意見に対して会員がお応えをしたりあるいは活動実績を示したりするような、誌面を通じた双方向からの情報交換の充実を心掛けたい。

「取材活動を通じて得られた会に対する正当な評価を、以後の活動に反映させていく」という姿勢で、できることから少しずつ、かつ確実に実行していく。

なお、従来の広報は、それぞれの事業ごとに単発で業者と交渉をするケースも多かったが、年間を通じて大きな広報予算が取れる事業については、窓口を一本化することにより、効果的かつ戦略的な広報活動を行うことができるものと考え、そのための具体的なスキーム作りにも着手したい。

2.社会問題への対応(市民権利擁護事業)
(1)成年後見

成年後見10周年記念事業を通じて得られた社会福祉士会や地域包括支援センターとの連携関係の一層の強化・拡充に力を入れる。
広報誌「ま・も・る」のコンセプトは「法と福祉の現場をつなぐ」であるが、広報誌を発行するだけでなく、リーガルサポート静岡支部の協力も仰ぎながら、相談事業部所管の「消費者問題シリーズ」のように法律実務家である司法書士と福祉の現場に携わる社会福祉士や地域包括支援センターの職員等とが、顔を合わせてお互いの仕事を知り、意見を交換するような機会を、いくつかの地区ごとに提供したいと考える。

(2)自死

平成23年度には、当会からも3名の委員が招聘されている浜松市自死対策協議会において、自死対策に寄与することを目的とし、精神保健福祉士や精神科医等と弁護士や司法書士等とが連携し、鬱等の精神疾患の疑いがある方、あるいは多重債務問題を抱える方を相互に紹介することにより、問題を早期に解決するためのシステムが稼働する予定である。会員に対する情報提供はもちろんのこと、このシステムも他の地域に広げていくことも、当会の役割の一つであると考える。
一方、自死シンポジウムを通じて、自死遺族の会との連携も生まれつつある。遺族を取り巻く現場では、遺族の会等に支給される補助金を目当てに「貧困ビジネス」ならぬ「自死ビジネス」と称される商法が暗躍しつつあるとのことで、ここでも、法律家に対する期待が高いと聞く。まずは、顔を合わせた協議会の開催を通じ、先方のニーズと司法書士会のできることを模索することから始めていきたい。

(3)その他 ~ 連携の重要性

平成22年度の事業報告でも言及したとおり、次々と形を変えて発生する社会問題に対し、市民や関係機関からの司法書士会に対する期待は大きい。一方で司法書士会だけでできることには限界があるのも事実である。平成23年度も、引き続き関係諸機関との連携を深め、強固な信頼関係を築くことで、新たに発生するであろう社会問題に対し、司法書士会としてできることを迅速・確実に実行していく。

3.会員に対する情報提供の充実(制度問題対策事業)

平成22年度に始めた「企画広報部だより」は、企画広報部が所管する各委員会の活動状況の可視化と、会員に対する迅速な情報提供に寄与した。平成22年度は生活保護、民法(債権法)改正、新オンラインシステムの3つの特集を組んで発行したが、平成23年度も、テーマに工夫を凝らしながら継続して発行していく。

特に、民法(債権法)改正はさらに審議会の議論も深まるものと考えられるので、機敏にフォローする必要性を感じている。また、平成22年度には取り上げられなかった司法書士法改正に関する一つ一つの論点についても、改めて分かりやすい情報提供する必要があろう。さらに今後は、集合訴訟制度やネット取引に関する法整備等、消費者法の分野における新たな立法が予測されており、これらについても必要に応じて他部所管の各委員会との連携を図りながら、遺漏ない情報提供に努める所存である。

4.出張法律講座の開催(法教育事業)

平成22年度に作成した新たな講義レジュメにつき、受講者・講師経験者双方からの意見を募り、さらにクオリティの高い、かつ高校生の日常生活に沿った形での改訂作業を進める。

数年来の課題である講師の育成については、講師研修会の実施回数を増やし、研修内容についても意見交換の時間を拡充する等の工夫を凝らし、特に若手の会員が楽しみながら講師のスキルを学べるような機会を設けたい。

また、広報手段の一環として、制度対策委員会で実施してきた一般市民向けの法律講座についても、実施回数の増加を目指してより積極的なアプローチを進めていく。

研修部

1.会員研修

平成22年度と同様、他部や関連団体が企画する専門性に特化した研修会と内容・日程の調整を図りながら、研修部としては、より多くの会員の執務に資する研修、タイムリーで最新の情報を盛込んだ研修の実施を心がけて企画運営に取り組んでいく所存である。特に、司法書士の一般簡裁事件への関与率が問題となっているところであるので、より多くの会員による一般簡裁事件への取り組みをフォローするためにも一般民事訴訟類型の実務に即した基礎的な講義を組み込んでいきたい。

これまで各テーマについて一コマ90分程度で研修を企画してきたが、時間的に短く消化不良となってしまうものもあった。そこで、平成23年度は一つのテーマについて年間を通じシリーズ化して実施することも検討したい。また、これまでと同様に定例の研修を補うものとして会員特別研修を位置づけ、法律、制度、社会の変遷に即した研修の開催を心がけたい。

2.年次制研修

年次制研修が開始され平成23年で10年目となる。この研修は5年に一度の履修を義務付けられているにも係らず、数年に渡り「参加猶予」の申し出がされている会員がある。そこで、身体的問題から参加猶予が続き今後も改善が見込めない会員に対しては日司連作成の代替研修の利用を促すなど、年次制研修の履修率向上を目指したい。

3.新人研修
  • (1)配属研修については、平成22年度と同様に延べ8週間での実施期間としたい。新人合格者は年々増加傾向にあるため配属先の選定には苦慮するが、新人にとっては執務現場の空気を肌で感じてもらう貴重な機会でもあるので、ぜひ多くの会員に配属を受入れていただき、新人全員の配属研修を続けていきたい。
  • (2)新人集合研修については、中央新人研修・関東ブロック新人研修では不足する部分を補う形で、講義内容を実施する。
    近年、会員業務を規制する会則がいくつか制定されているが、各単位会の会則は中央新人研修・関東ブロック研修では触れられないため、こうした会則を解説する講義も組み込みたい。
    実施時期は、平成22年度より中央新人研修・関東ブック新人研修・特別研修が3月上旬で終了することとなったため、これに続けて実施したい。
4.DVD研修(専門分野習得プログラム等)の実

毎年、日司連主催の研修DVDが配布され、本会ではDVD視聴研修リストを作成して会員の利用を促してきたが、決してこれまでの利用率は高くない。充実した講義内容を収めたDVDも多く、各自の視聴による利用だけでは勿体無いと考えられるため、平成23年度はこれまでのスタンダードな研修に加えDVDを利用した研修を実施していきたい。

5.講師謝礼基準の整備

講師謝礼基準については作成から年数が経過しており文言の整備や基準見直しの必要があること、又、内部講師の謝礼基準などでバランスを欠く点もあることから、新たな講師謝礼基準を整備していきたい。

6.その他
  • (1)日司連研修情報ステムが平成23年4月1日をもって新システムに移行されるので、この利用方法について告知していく。
  • (2)これまで特定分野研究グループの支援を行い、研究発表の場としてブロック研修等の講義を担当してもらってきたが、平成22年度は特定分野研究グループの参加団体が2グループに留まった。平成23年度は、より積極的な特定分野研究グループの募集推進と活用を行いたい。
  • (3)司法書士法3条2項にかかる特別研修について毎年本会からチューターを派遣してきたが、これまで管轄部署が明確となっていなかったため平成23年度からは研修部がこれを担当する。

相談事業部

1.重点テーマ
  • ・一般民事事件等(登記関連相談も含む)の受託範囲の拡大
  • ・債務整理事件に関する執務(広告・報酬)の検討
2.担当事業構成

貸金業法完全施行を受け、多重債務問題対策委員会を消費者問題対策委員会に統合する。
また、総合相談センターしずおかの運営・管理は、静岡県司法書士会司法書士総合相談センター設置規則第6条に定める組織(以下「総合相談センターしずおか運営委員会」という)が担当する。

〈消費者問題対策事業〉
消費者問題に関連する事業を担当する。
  • ・「契約トラブル」、「クレサラ」などに関する相談への対応を強化
  • ・相談活動誌「消費者問題通信」の発行
  • ・行政相談員向け研修会「消費者問題シリーズ」の開催
  • ・その他、消費者問題に関する一切の事業
〈相談推進事業〉
一般民事受託範囲の拡大のために、登記に関する相談も含め、一般民事等に関連する事業を担当する。
  • ・「労働トラブル」、「物損交通事故トラブル」、「賃貸トラブル」などに関する相談への対応を強化
  • ・被告事件受託増加への対応
  • ・その他、一般民事に関する一切の事業
〈犯罪被害者支援事業〉
犯罪被害者支援に関連する事業を担当する。
  • ・会員向け研修会の企画を検討
  • ・犯罪被害者支援に関する他団体との交流による情報収集
  • ・その他、犯罪被害者支援に関する一切の事業
〈総合相談センターしずおか運営事業〉
総合相談センターしずおかの運営・管理に関する事業を担当する。
  • ・常設相談室、当番相談員制度、NTT受信代行システムの運営
  • ・法の日記念事業の企画、実施
  • ・相続登記はお済みですか月間の実施
  • ・総合相談センターしずおか相談員向け研修会の企画、開催
  • ・法テラスへの対応
  • ・その他、総合相談センターしずおかの運営、管理に関する一切の事業