1.地域社会との更なる連携

過去2年間、静岡県司法書士会は、「地域社会との更なる連携」を最重点課題に掲げてさまざまな活動を展開してきた。オンライン申請を含む新しい登記制度への対応、簡裁訴訟代理等関係業務の実績の強化、新しい貸金業法の下での多重債務問題への取組み、ますます増加する成年後見業務のニーズへの的確な対応、商業登記所集中化後の中小企業の登記ニーズへの対応を含む企業法務のあり方の再構築、といった日常業務に直結する課題への対応はもちろんのこと、司法書士ADRが市民社会に根付くために必要不可欠な静岡県司法書士会調停センターふらっとの活動支援の強化、法テラス(日本司法支援センター)との連携のためにも重要な役割を果たすことが期待される司法書士総合相談センターしずおかの活動と活性化等々の活動についても、常に「地域社会との連携」を図り、司法書士という職能を市民の皆さんに最大限に活用していただく方法を考えて活動をしてきた。この「地域社会との更なる連携」という重点課題は、一定の成果を収めつつあるが、しかし、まだまだ十分な成果を挙げているとはいえないので、引き続き最重点課題として活動を展開していく。

2.専門性の更なる向上

さらに、今年度は、これに加えて、「専門職の専門職たる所以である専門性の更なる向上」、特に伝統的な司法書士の業務である「『登記業務』 と 『書類作成業務』のより一層の進化・深化」を新たな重点課題として取組みを強化したい。

簡裁訴訟代理等関係業務が司法書士の業務とされてから10年が経過しようとしているが、この間、司法書士による簡裁訴訟代理等関係業務は、任意整理、過払金返還訴訟等の分野で予想を超えた実績を残しつつあるものの、それ以外の訴訟類型では、目立った成果を挙げることができないままである。静岡県司法書士会でも、ここ数年、簡裁訴訟代理等関係業務の受託推進の施策を検討・実施してきたが、未だ十分な成果を挙げるに至っていない。

一方、簡裁訴訟代理等関係業務が司法書士の業務とされた平成15年以降に入会した会員が増加するに従い、司法書士の中心業務であった「登記業務」及び「裁判所提出書類作成業務」の比重が、従来と比較すると低くなっているような傾向が見受けられる。これらの分野は、過去140年以上にわたり司法書士の中心業務であったことから、我々司法書士の有しているこれらの分野のノウハウや業務における優位性は、一朝一夕に失われるものではない。しかし、我々は、ある意味で非常に使い勝手の良い「代理権」を取得して以来(特に「過払いバブル」を経験して以来)、我々の先輩たちが築いてきた双方代理型の登記手続代理業務や、本人訴訟支援型の裁判事務を、図らずも軽視する傾向にあったのではないか。広くとらえれば、「裁判事務」と一括りにされる簡裁訴訟代理等関係業務と裁判所提出書類作成業務は、実際には、質の異なる部分もある。我々は、この10年間、簡裁訴訟代理等関係業務の受託推進に力を注ぐあまり、本人訴訟支援型の業務についてのさらなる進化・深化のための検討を十分にしてこなかったのではないか。そのため、特に、最近10年の間に司法書士となった会員にとっては、本人訴訟支援型の業務に必ずしも十分に対応できない状況が生まれつつあるのではないか。今、そのことを率直に反省する必要がある。双方代理型の登記手続代理業務についても、同様である。

そのような認識の下、今年度は、「原点回帰」「基本に立ち返る」ということを意識して、上記のとおり「専門職の専門職たる所以である専門性の更なる向上」、特に「『登記業務』と『書類作成業務』のより一層の進化・深化」を新たな重点課題として、司法書士会内部の活動においても、そして対外的にも、これらの分野の活動を特に強化したい。そして、これらの業務を足元から見つめ直し、これらの分野で我々がさらに力を付けて、利用者から、連携先から、真の意味で頼れる存在としての地位を確固たるものにしたその先に、司法書士による簡裁訴訟代理等関係業務の進化・深化も見えてくることを期待したい。

3.簡裁訴訟代理等関係業務の受託促進

過去数年間の広報戦略の見直しの効果もあり、昨年度の当会の常設相談(面談相談及び電話相談)に寄せられた相談は、種類、数ともに大幅に増加した。このような実績は、制度広報の上でも重要であるが、何より、日々の相談事業にご協力いただいている相談員各位の業務に関する知識、能力、ノウハウ等の蓄積及び向上に大いに資する結果となっており、その成果は、相談員各位の日常業務の質の向上に確実に役立っているものと思われる。

今後の課題は、このような相談事業の成果を、より直接的に依頼者に還元すること、具体的には、我々の日常業務のレベルで、この成果を依頼者の満足度の向上(最終的には、問題を抱えた依頼者にとっての問題の解決)に数多く結び付けることである。

常設相談の相談内容の内訳を分析してみると、相談項目として一番多いのは①一般民事であり、次いで、②登記、③成年後見・家事事件、④債務整理の順となっている。そして、一般民事の中で相談件数が多いのが、「明渡請求・借地借家」「貸金」「損害賠償」「消費者問題」「労働問題」であり、その大半は簡裁訴訟代理等関係業務に含まれるものである。つまり、常設相談の相談者は、司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務に大きな期待をしているのである。その期待に十全に応えるために、巷間複数の見解が錯綜しているといわれている簡裁訴訟代理等関係業務の範囲について改めて整理をするとともに、民事調停手続の利用の拡充も含め、更に簡裁訴訟代理等関係業務の受託促進策を強化する

4.財産管理業務等の新しい業務への取組みの強化

日本司法書士会連合会の執行部は、数年前から、①「登記」、②「訴訟(簡裁訴訟代理等関係業務及び裁判書類作成関係業務)」、③「後見」が司法書士の業務の三本柱だと言っている。特に、③は、司法書士が民法(財産法・家族法)等の一般的な法令だけでなく不動産及び金融を中心とした取引に関する特別法やその実務に精通している法律専門職であり、登記、裁判書類作成、簡裁訴訟代理という専門分野をもっている、という確固たる実績に加えて、身上監護等の必ずしも専門分野とはいえない分野についても研鑽を積み重ねて高度な知見を積極的に吸収しながら業務を行っていること、しかも個々の司法書士だけでなくその所属団体が組織としても家庭裁判所等の関係機関と緊密な連携をとりながら実務に対応する体制を整えていることを、家庭裁判所が一定の範囲で高く評価していることと相俟って、近年、取扱事件数が著しく増加している。家庭裁判所事務総局家庭局が毎年集計し公表している「成年後見関係事件の概況」によれば、司法書士が成年後見人等の選任された件数は、平成15年度に弁護士を超えた後、毎年、専門職(司法書士・社会福祉士・弁護士)中の首位の座を保っており、直近のデータによれば、司法書士が成年後見人等に選任された事件の比率は、全事件の16.5%、上記3専門職種中の約45%を占めるに至っている。

このような成年後見業務における明らかな実績を前提として次に我々が積極的に取り組むべき課題のひとつに、(成年後見業務以外の)「財産管理業務」がある。特に成年後見業務の実績により家庭裁判所の一定の信頼を得ている現状では、まず、家庭裁判所の選任・監督の下で行われる相続財産管理人、不在者財産管理人、遺言執行者、未成年後見(監督)人等の業務について、確実に実績を積み重ねることが肝要である。平成25年度は、そのために必要な事業も継続して行う。

ところで、「財産管理業務」の実績を積み重ねるためには、上記で述べた「地域社会との連携」や「専門性の向上」を引き続き強化することも必要であるが、そのほかに、例えば、新しい家事事件手続法の下での家庭裁判所の実務にきちんと対応する体制を整えることも喫緊の課題として重要である。家事事件手続法の目的である「手続の透明性」と「子の意思の把握」の趣旨をきちんと理解した上で、改正された規律や改正を契機に変更された取扱いを正確に把握して、新しい家事事件の実務に対応していくことは、司法書士の今後の「裁判書類作成関係業務」さらには「簡裁訴訟代理等関係業務」の発展にとっても不可欠であるとの認識の下、家事事件手続法への対応を含め、「財産管理業務」をはじめとする新しい業務の推進にも取り組みたい。

5.新しい会費及び特別会計制度の定着に向けての規程類の整備

言うまでもなく、司法書士会の事業を支えているのは会員各位から納付された会費である。総務経理部門がそれを適正に管理し、効果的な事業支出のための下支えをしているからこそ、司法書士会の事業部門は内部的にも対外的にも万全の活動をすることができるようになる。平成24年度は、司法書士会の事業基盤の強化を目的とした会費制度の改革を行ったが、新しい会費制度が実質的にスタートする平成25年度からの2年間は、新しい会費制度の下での規程類の整備を完成させる時期に当たる。平成25年度も、総務経理部門を中心に、経過的に残している旧規程を廃止し、新規程に完全に移行するための種々の手続を進めて、会務運営の一層の盤石化を進める。

総務部

1.会則・諸規則・会務財政の検討

完全定額会費制移行に向けて、以下の作業を行う。

  • (1)関連規定の整備・改廃
    証紙等に関する規則の廃止、経理規程の変更、会館建設特別会計規程の廃止、事務局執務細則の変更等
  • (2)特別会計の閉鎖に向けての準備
    会館建設特別会計および業務会費(証紙)特別会計の閉鎖に向けての準備
2.会員の執務・品位保持・紛議処理に関する事項、非司法書士排除活動への取り組み

引き続き総務委員会による組織的な対応を行い、一つの苦情案件につき、複数の担当者が対応することで、苦情対応の迅速性及び透明性を高める。

3.災害時危機管理体制の整備

当会の危機管理体制の一層の充実を図る。

  • 4.会員の登録に関する事項
  • 5.事務局の運営及び会館管理、事務局体制の効率化
  • 文書保存・保管規程制定により、文書の仕分け等を行い、効率的な会館スペースの利用に努める。
    また、会館建設後10年が経過し、各所に傷みが発生していることから、建設会社と打ち合わせの上、検査・点検を実施し早めの対応をしていく。
  • 6.他団体との情報交換並びに交流
  • 7.業務賠償責任保険の維持・管理
  • 8.住宅金融支援機構等の承継登記にかかる事務管理

経理部

  • 1.本会会費の適正な収入の確認と事務局における管理
  • 2.各事業支出(各部会・委員会等)の適正な執行状況の把握と確認
  • 3.各管理費(特別会計支出を含む)の適正な支出の把握と確認
  • 4.証紙特別会計並びに会館建設特別会計の廃止に向けての適切な処理

企画広報部

1.効果的な対外広報

限られた予算の中でいかに効率的に対外広報を行うかということを念頭に置き、下記のとおり広報のあり方を考えていく。

  • (1)ホームページの改訂
    本会のホームページについては、平成21年度に現在のものに刷新され利便性が向上したが、さらなる利便性向上のための改訂(バージョンアップ)を行いたい。
  • (2)高校生一日司法書士・静大ガイダンス
    平成24年度は、司法書士制度140周年の記念事業として「高校生一日司法書士」を実施したが、参加した高校生の評判も良かったことから、内容について工夫を加えたうえで平成25年度も継続事業としたい。
    また、これまで総務部が担当していた静大ガイダンスについても企画広報部にて担当する。
  • (3)対外広報ツールの一括管理
    対外広報ツールについては、相談事業部ほかと連携して一括管理し、会全体として効果的な広報活動をすすめていきたい。
2.会員の執務支援に資する研究と情報提供(対内企画事業)

法改正関係については常にアンテナを高く情報収集し、かつ、独自に研究を進めるなどして、下記のとおり会員の執務に役立つ情報を提供していきたい。

  • (1)裁判業務対策事業
    貸金業法改正により債務整理業務が一段落した今、簡裁訴訟代理等関係業務及び裁判書類作成業務を司法書士の根幹業務として定着できるよう研究し、執務支援となるよう企画していきたい。
  • (2)登記業務対策事業
    本人確認作業など登記業務の基本に立ち返って執務支援のできる研修、企業法務の執務支援に資する研修などを企画していきたい。また、オンライン申請システム関連ほか、登記関連の制度変更に関して情報提供していきたい。
  • (3)後見業務対策事業
    未成年後見については、これまで本会として積極的に取り組んでこなかった。成年後見に比べ数は少ないものの司法書士の活躍が期待される分野と考えられる一方で、成年後見と異なる苦労が予想される分野であるため、未成年後見業務について研究し、執務支援となるよう企画していきたい。
  • (4)財産管理業務対策事業
    平成24年度は、研修部が主体となって相続財産管理人・不在者財産管理人に関する研修を実施してきたが、研修履修者の名簿提出や今後の名簿書換えについて一定のルールを作成し、また、家裁からの推薦依頼があった場合のルールなども整備していきたい
3.市民権利擁護事業・社会問題への対応(対外活動)

さまざまな社会問題に対し法律家として司法書士の参画が求められる中、ひとつずつの問題の解決に我々が寄与していくことが、ひいては司法書士の認知度を上げ、制度の発展につながるものと考え、下記の事業を行う。

(1)民法(債権関係)改正に関する講習

民法(債権関係)改正の作業が進む中、その動向について社会的にも注目されつつあるため、対外的に改正「中間試案」の内容を伝える講習等を企画していきたい。

(2)権利擁護懇話会

平成23年度・24年度と実施し参加者も増加しており高評価をいただいているため、企画内容及び募集対象を吟味したうえ平成25年度も継続していきたい。

(3)自死対策

浜松市、富士市、静岡市などでは行政と連携して自死対策事業が行われているが、ここで得た知識を会員にもフィードバックしながら、その他の地域での連携も深めていきたい。

(4)貧困問題対策

貧困と格差拡大・雇用不安対策が社会問題となる中、厚生労働省における「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の報告書」でも包括的な総合相談体制の構築がうたわれているところである。本会も、こうした相談体制に法律家として参画していきたい。

4.出張法律講座の開催(法教育事業)

平成23年度の延べ27名から平成24年度は延べ50名へと必要講師数が増加しており、今後もさらなる増加が予想される。高校生法律講座においては、特に生徒の関心を引きつけるプレゼン能力が求められているため、そうした観点からの講師養成に力を入れる必要があると考える。

(1)高校生法律講座

これまでに引き続き高校生を対象とした法律講座を実施したい。実施校の数が増加しているため、多くの会員に講師として協力をお願いする次第である。
また、「消費者教育の推進に関する法律」の施行を受けて、行政機関や教育関係者が法教育(消費者教育)に本腰を入れることが予想されるため、教育関係者等との連携を深めていきたい。

(2)講師養成研修会

実施校の増加に伴い多くの会員に講師として協力いただいている中、講師の水準を一定に保つべく講師研修会を実施し、利用しやすいレジュメのありかたについて検討したい。

研修部

1.会員研修

司法書士として武器となるノウハウを身につけること。以上を本年の指針とし、研修を企画していきたい。特定のテーマについて中長期的な研修プログラムを組み、圧倒的な質・量の知識を会員に身につけていただく。

(1)単位制研修

例年、会員研修、裁判事務研修、ブロック研修を各2回開催してきたが、上記指針に基づき、単発のテーマを廃し、ひとつのテーマの研修を連続して行いたい。よって、下記のように、研修会の構成を改める。会員研修(2回)     主に登記分野・財産法について
裁判事務研修(4回)   主に裁判所提出書類作成業務について
ブロック研修       廃止

(2)財産管理研修

財産管理業務は、成年後見業務・不在者財産管理業務・相続財産管理業務・遺言執行業務などを通じて、司法書士の業務分野として認知されてきている。平成25年度も、平成24年度に引き続き、財産管理業務のノウハウと倫理を学ぶため、年5回の研修を実施したい。
なお、この企画・運営方法として、中部では生講義をおこない、東部・西部の両地区においては中部で開催された講義を録画したDVDによる研修を開催するなど、会員が参加しやすいものとし、多くの会員が専門的な知識を活かせる体制を築くことを検討する。

(3)家族法特別研修

家事事件は、裁判所提出書類作成業務を通じ、司法書士業務の中でも今後力を入れていくべき分野である。実際、家事事件の中には、申立書と添付書類を整えれば、本人の訴訟能力をもって充分対応できる事件も多く、司法書士の能力を大いに活かすことができる分野である。
家事事件のエキスパートになるためには、家族法のことをよく知らなければならない。また、現行家族法を使いこなすために家族法の歴史を知ることも必要だし、戸籍法や家事事件手続法についても並行して理解を深める必要があるだろう。法と現実の乖離、問題点、将来の改正論点も知っておく必要がある。
講学的な内容の研修を実施したい。

(4)年次制研修

平成25年度も平成24年度に続き、研修機会を2回提供する。代替研修の受講等を促すなどして、履修率の改善に努めたい。

2.新人研修

(1)配属研修

配属先の負担や配属先事務所の選定が年々難しくなっているが、これまで通り6週間以上の研修期間を維持したい。その中で、配属先事務所の決定に関して、決定までの流れ等についてのルール作りを検討したい。また、配属研修実施困難に備え、集合研修を充実することで配属研修の代替とならないか検討したい。

(2)配属研修指導員ガイダンス

中央新人研修、ブロック新人研修、特別研修で実施している研修内容を指導員に理解してもらい、かつ受講生に執務上必要な細かい知識を指導いただく。

(3)集合研修

例年通り、中央新人研修・関東ブロック新人研修で不足する部分を補う研修を企画したい。昨今、配属研修先事務所の選定が以前より難しくなってきている。また、今後、事件の減少等により、配属研修後の実務経験期間が、以前よりも短いものになると予想されることから、早期に司法書士として開業できる実務知識と事務所経営の在り方などを修得することが課題となる。
そのため、効果的、かつ実務に直結した研修を集合研修として企画することを検討する必要がある。以下のような研修を企画したい。

  • 1.民事法律扶助制度に関する研修や司法書士の社会的使命、司法書士会の対内、対外的活動等へ取り組む意義の研修、ADRの研修は、次年度も維持したい。成年後見に関する研修は、リーガルサポートの企画する研修と共催で行っているが、運営や予算の配分などで毎回調整が必要となることから、集合研修として実施する場合は、事前にリーガルサポートと打合せをする必要がある。
  • 2.より細かな実務的な知識や事務所を開業した際に必要となる知識の修得を目的とした研修を企画する(具体的には、職務上請求、税金などのいわゆる周辺業務)。
  • 3.破産、再生手続等に関して、より実務色の強い内容の講義を行う。
(4)フォローアップ研修

例年、新人研修は1年間で終了し、その後“新人研修”の範疇でフォローは行っていない。しかし、昨今の経済状況から、新人が試験合格後短期間で開業せず、2年3年4年と補助者として勤務する者が増えている。このような“新人後”の者に対し、早期に登録し司法書士として活躍することを促し、また当会とのつながりを保つため、執務に関する研修を提供する機会を設けたい。

3.その他
  • (1)特定分野研究グループの支援
    複数団体からの申込みを得たい。この研究の成果については、従来ブロック研修にて披露されることが多かったが、今後は支部研修などにおいて積極的に利用していただけるよう、呼びかけをおこなう。
  • (2)特別研修チューター派遣
  • (3)防災訓練の実施
  • (4)日司連研修情報システム及び当会DVDライブラリ等の会員への告知
  • (5)支部との情報交換
    各支部の協力を得ることを前提として、本会通信上で各支部の研修についての案内をおこない、他支部の会員であっても広く支部研修に参加できるような体制作りを図る。
    また、特定分野研究グループと協力し、支部研修への講師派遣などについても検討していきたい。

相談事業部

1.「司法書士総合相談センターしずおか」の運営

~ 新たなステージに向けた確実な基盤づくり

平成14年度に会館における面談相談から始まった常設相談だが、平成15年度には浜松、平成17年度には三島・細江・天竜、平成18年度には下田と新たな窓口が順次開設されたほか、同じく平成18年度には会館において電話相談も開始された。「資格を持った司法書士が、いつでも直接相談にお応えできる」という電話相談の体制は、当時としては画期的なものであった。
このように相談センターは、県民の皆さんの相談ニーズの受け皿として着実な成長を遂げ、司法書士法改正と簡裁代理権の獲得、多重債務相談の激増、ヤミ金との闘い、クレディア・武富士倒産に伴う緊急相談への対応など、その時々の法的需要に応え続けている。

しかし、ここ数年の多重債務相談の激減により、相談センターは新たなステージに移行したといえよう。次の10年間で問われることは、「登記」「民事訴訟支援」「成年後見」の担い手として、よりきめ細かく関係機関や県民のみなさんに相談センターを浸透させ、認知され、利用いただくことである。

ことに「民事訴訟支援」の分野では、登記や成年後見の分野と同様、寄せられた相談を確実に受任し相談者の抱える問題解決を徹底していく姿勢を、相談員全員が共有していく必要がある。簡裁訴訟代理等関係業務と裁判所提出書類作成業務とにかかわらず、「民事訴訟支援」の分野で司法書士がどれだけの実績を積み上げることができるかは、司法書士界全体の課題であるし、静岡県司法書士会の平成25年度における重点テーマにも位置付けられているのである。

幸いにも、各種広報活動により幅広い法律問題が相談センターに寄せられるようになっているので、まずは「司法書士紹介の徹底」と「相談員研修による質の向上」のふたつを平成25年度の具体的な課題に掲げ、相談センターが司法書士による「民事訴訟支援」の基盤と位置付けられるように成果を残していきたい。

また、常設相談の運営に際しては、リーガルサポートとの連携や転送による電話相談方式の導入など、検討すべき課題もいくつか持ち上がっているので、効果的な相談体制の構築という観点から協議していきたいと考えている。

2.他団体との合同相談会の実施・検討

平成24年度に実施した税理士会と合同の「相続・何でも無料相談会」を継続して実施する。平成24年度に開催した静岡・浜松・沼津以外の地域で、年度内に4~5箇所の開催ができないかを検討中である。平成26年度末までに県内の主だった市町を網羅し、県民の皆さんの相続相談に対する多くの需要に応えていきたいと考える。

また、この合同相談会は、さまざまな可能性を提示している。税理士会以外にもさまざまな団体との協力体制を築くことができれば、不動産・労働問題・事業承継など、それぞれの団体の専門分野でジャンルに特化した相談会の開催も可能となろう。平成25年度中にその可能性を検討し、平成26年度にはまた新たな合同相談会が実施できるように検討していきたい。

なお、多くの相談員の協力がなくては成り立たない相談会であり、ことに開催地域の地元会員からの協力が不可欠である。具体的な開催地が決定した際には、各支部を通じて協力要請をさせていただく予定であるが、支部執行部や地元会員の皆さんには積極的なご協力をお願いする次第である。

3.司法書士活用の喚起に向けた取組み

「相談センターニュース」の発行により、マスコミや関係機関には毎月の相談件数や相談内容がタイムリーに報告されるようになった。しかし、その情報がマスコミや関係機関を通じて外部に公表されているかといえば、必ずしもそのような成果には至っていないのが現状である。

そこで「相談センターニュース」の発行は続けつつも、平成25年度は新たな事業として、少なくとも年に2回程度、相談内容をより詳細に分析した統計をマスコミ発表し、新聞紙面等で相談センターの実績と地元司法書士の一層の活用を利用者たる県民の皆さんの目に見える形でアピールすることに取り組みたい。

また、地元司法書士の活用という観点では、平成24年度に試験的に行った各市町に対する相続登記未了不動産解消に向けたはたらきかけをさらに強化していきたい。具体的な取り組みとして、一般社団法人静岡県公共嘱託登記司法書士協会が進めているいわゆる「道路内民地」の問題と共通するテーマであろうと思われることから、公嘱協会や政治連盟とも連携しながら市町の担当者の下へ足を運び、趣旨説明を行う予定である。

4.消費者問題対策事業

対外的な活動については、多方面から高評価をいただいている消費者問題シリーズ研修・消費者問題通信の開催・発行について、実施回数や企画内容をさらに精査し、効果的で質の高い内容を提供できるようにしていく。

また、「消費者問題ネットワークしずおか」が近く消費者契約法が規定する適格消費者団体への移行を視野に入れているとのことで、今後、同ネットワークの地域における存在意義がますます重要視されることは明らかである。また「消費者教育の推進に関する法律」の施行に伴い、同ネットワークと静岡大学との連携による新たな教育事業の計画が進められており、消費者被害救済に取り組む法律実務家として、法教育委員会とも連携しながら一層の連携・支援を進めていきたい。

一方、対内的な活動に ついては、平成24年度後半に多くの外部研修会に委員を派遣して情報の収集・分析に努めているところである。ことに悪質商法の温床となっている決済システムや決済代行業者に関する研究、消費者契約法改正に向けた課題等は実務にも直結する重要なテーマであるので、委員会内部で十分に検証した上で、何らかの形で会員の皆さんに有益な情報提供ができるように対応していきたい。

5.犯罪被害者支援事業

平成24年度に引き続き、地道な実績作りと犯罪被害者支援に携わる会員の拡充に取り組むため、研修部ほかと連携しながら有用かつ興味深い情報提供に努めていく。また、過去2回の「暴行・傷害被害者相談会」を改めて分析し、相談件数の増加を図るために出足の早い準備に着手したい。

一方、司法書士会の取組みを外部に知ってもらい、他の分野同様に司法書士を犯罪被害者支援の分野でも活用いただくためには、関係団体へはたらきかけ、司法書士として何ができるのかを具体的に説明できる機会をひとつでも多く確保していく必要がある。その具体的なはたらきかけ先として現在、民生委員や県の主催する犯罪被害者連絡協議会等があがっているので、平成25年度中には何らかの連携が可能となるよう、積極的な広報活動にも従事していく所存である。