1.地域社会との更なる連携

過去3年間、静岡県司法書士会は、「地域社会との更なる連携」を最重点課題に掲げてさまざまな活動を展開してきた。平成26年度も引き続き、オンライン申請を含む新しい登記制度への対応、簡裁訴訟代理等関係業務の実績の強化、新しい貸金業法の下での多重債務問題への取組み、ますます増加する成年後見業務のニーズへの的確な対応、商業登記所集中化後の中小企業の登記ニーズへの対応を含む企業法務のあり方の再構築、といった日常業務に直結する課題への対応はもちろんのこと、長期的にみれば非常に重要な課題となるはずである民法(債権法)改正や集団的消費者被害回復に係る訴訟制度への実務対応、更には司法書士ADRが市民社会に根付くために必要不可欠な静岡県司法書士会調停センターふらっとの活動支援の強化、法テラス(日本司法支援センター)との連携のためにも重要な役割を果たすことが期待される司法書士総合相談センターしずおかの活動と活性化等々の活動についても、常に「地域社会との連携」を図り、司法書士という職能を市民の皆さんに最大限に活用していただく方法を考えて活動をしていく。特に平成26年度は、従来以上に「アウトリーチ」を意識しながら、すなわち、司法制度・司法書士制度の利用者の方々が会や事務所に相談や依頼に来るのを待っているだけでなく、積極的に地域社会に出向いて、地域の皆さんが抱えている困りごと、トラブルや紛争の解決に役に立つ情報を提供し、相談に応じ、支援をすること、そのような活動を特に意識しながら、引き続き「地域社会との更なる連携」を重点目標に活動を展開していきたい。

2.専門性の更なる向上

平成25年度に引き続き、平成26年度も、「専門職の専門職たる所以である専門性の更なる向上」を重点課題として取組みを強化する。
司法書士が、これまで司法制度・司法書士制度の利用者から頼れる相談先・依頼先として信頼されてきたのは、偏に利用者が我々の専門性を高く評価してきたからである。しかし、過去15年間、司法書士の業務範囲は大きく広がり、我々は15年前と比較すると実に多種多様な業務を行うようになっている。そのような状況の下、司法書士制度を支え個々の司法書士の専門職としての能力についても、様々な分野ごとにばらつきがみられるようになっていると感じられる。そこで、平成25年度は、「原点回帰」「基本に立ち返る」ということを意識して、「専門職の専門職たる所以である専門性の更なる向上」、特に司法書士の伝統的な業務ともいえる「『登記業務』と『書類作成業務』のより一層の進化・深化」を重点課題として活動したが、現時点においては、未だその成果がはっきりと表れているわけではない。平成26年度も引き続き、司法書士会内部の活動においても、そして対外的にも、これらの分野の活動を特に強化する。

3.簡裁訴訟代理等関係業務の受託促進

当会が平成14年10月に現在の地に会館を移転した直後から行なっている市民向け常設相談(面談相談及び電話相談)には、すでに3万件を超える相談が寄せられており、その実質的な相談件数は、年々増加する傾向にある。今後の課題は、このような相談事業の成果を、より直接的に依頼者に還元すること、具体的には、我々の日常業務のレベルで、この成果を依頼者の満足度の向上、すなわち、最終的には、問題を抱えた依頼者にとっての問題の解決に数多く結び付けることである。

「過払バブル」崩壊後の常設相談の相談内容の内訳を分析してみると、相談項目として一番多いのは「一般民事であり、その中で相談件数が多いのは、「明渡請求・借地借家」「貸金」「損害賠償」「消費者問題」「労働問題」である。これらの相談に係る事務の中には、もちろん、我々が司法書士法3条1項4号及び5号の業務(裁判所提出書類作成業務及び同業務として行う事務について相談に応じる業務)として行うほかないものも含まれているが、その多くは、簡裁訴訟代理等関係業務に含まれるものである。常設相談の相談者から我々に寄せられている大きな期待に応えるため、平成26年度も引き続き、民事調停手続の利用の拡充も含む簡裁訴訟代理等関係業務の受託促進策の強化を図る。

4.家事事件・財産管理業務への取組みの強化

平成25年1月1日から施行されている家事事件手続法は、「手続の透明性」と「子の意思の把握」をその大きな目的としており、その目的の達成のために、これまで以上に専門職が家事事件手続に関与することが求められている。家事事件手続法の下での新しい家事事件の実務に対応していくことは、司法書士の今後の「裁判書類作成関係業務」さらには「簡裁訴訟代理等関係業務」の発展にとっても不可欠であると考えられることから、平成26年度は、家事事件手続法への対応を含め、これまで以上に、家事調停や家事審判、特に離婚事件、遺産分割事件等の実務に精通した司法書士の育成に資する事業を展開する。

また、(司法書士法施行)規則31条業務とも呼称されている財産管理業務は、もちろん、そのすべてが家事事件の範疇に収まるものではないが、現状では、その大部分は、家庭裁判所の管轄に属する家事事件である。司法書士は、平成12年の成年後見関係法の施行以来、成年後見業務においてだれも否定することができない大きな実績を残してきており、その実績を前提として次に我々司法書士が積極的に取り組むべき課題のひとつに、成年後見業務以外の「財産管理業務」、特に、家庭裁判所の選任・監督の下で行われる相続財産管理人、不在者財産管理人、遺言執行者、未成年後見(監督)人等の業務がある。成年後見業務の実績により家庭裁判所の一定の信頼を得ている現状では、まず、これらの業務について、確実に実績を積み重ねることが肝要であろう。平成26年度も、引き続きそのために必要な事業を行う。

なお、齋木会長率いる日本司法書士会連合会(以下「連合会」という。)の執行部は、「家事代理権の獲得」を第一目標として次期司法書士法改正要綱案を策定し、平成26年の連合会定時総会においてその承認を求める予定とのことである。また、連合会の齋木執行部は、平成25年、司法書士による財産管理業務の研究のための委員会を立ち上げており、同委員会は、これまで非常に精力的に活動をしている。当会でも、必要に応じこのような連合会の動きに呼応して、司法書士制度の発展のためにもこの分野において積極的な活動を展開したい。

5.新しい会費及び特別会計制度の定着に向けての規程類の整備

当会では、平成24年度に当初の予定どおり会館建設のための負債を完済し、それにあわせて会費制度の改革を行なった。その後の平成25年度と平成26年度は、所要の清算業務を行い、経過措置として残していた規程類の改廃の作業を完結させ、会費制度の改革を真の意味で完成させる年度である。
平成26年度も、総務・経理部門を中心に、経過的に残している旧規程を廃止し、新規程に完全に移行するための種々の手続を進めて、会務運営の一層の盤石化を進める。

総務部

  • 1.会則・諸規則・会務財政の検討
  • (1)完全定額会費制移行に伴う、関連規程の整備・改廃(経理規程の変更、会館建設特別会計規程の廃止、事務局執務細則の変更等)
  • (2)研修部と連携し、研修規則及びその関連規程等制定に向けての準備
  • 2.会員の執務・品位保持・紛議処理に関する事項、司法書士法違反監視是正活動への取り組み
  • 総務委員会による組織的な対応を行なう。

    (1)一つの苦情案件につき、複数の担当者が対応することで、苦情対応の適正化及び迅速化を図る。
    (2)司法書士法施行規則第41条の2の規定に基づく法務局からの調査委嘱を受けた際の“司法書士法等違反に関する調査”に加え、総務委員会による司法書士法違反監視是正活動を行なう。

  • 3.各自治体との「大規模災害時における司法書士相談業務の支援に関する協定(災害協定)
  • 締結を推進
  • 引き続き、静岡県内市町との間に「大規模災害時における司法書士相談業務の支援に関する協定(災害協定)」の締結を推進する。
    また、災害協定に基づく司法書士相談業務が円滑に行えるよう市町との連携を更に図る。
  • 4.災害時危機管理体制の整備
  • 当会の危機管理体制の一層の充実を図る。
  • 5.会員の登録に関する事項
  • 6.事務局の運営及び会館管理、事務局体制の効率化
  • (1)引き続き、文書保存・保管規程に基づき、書庫・図書室の文書を中心に仕分け等を行い、効率的な会館スペースの利用に努める。
  • (2)会館建設後10年以上が経過し各所に傷みが散見されることから、会館修繕特別会計を原資とする「大規模修繕計画」を策定する。
  • 7.他団体との情報交換並びに交流
  • 8.業務賠償責任保険の維持・管理
  • 9.住宅金融支援機構等の承継登記にかかる事務管理

経理部

  • 1.完全定額会費制による本会会費の適正な収入の確認と事務局における管理
  • 2.新しい特別会計(会館修繕特別会計並びに自然災害相談活動特別会計)の定着化に向けての適正な収入の確認
  • 3.各事業支出(各部会・委員会等)および各管理費(特別会計支出を含む)の適正な執行状況の把握と確認
  • 4.業務会費(証紙)特別会計並びに会館建設特別会計の廃止と繰越資産の一般会計並びに特別会計への繰り入れ
  • 5.業務会費(証紙)特別会計並びに会館建設特別会計の廃止に伴う旧規程の廃止と関連規程の改正を総務部と連携して行なう

企画広報部

1.対外広報事業

司法書士」がどのような仕事や社会活動をしているのか。結果、どのような役に立てるのかを分かりやすく発信していきたいと考えている。また、どのような成果があれば、広報が成功したといえるのか、目標と成果を意識した広報を行うことを心掛けたい。
多くの市民の方々に「司法書士」に関心を持ってもらい、「司法書士」を活用していただくことを念頭に、下記のとおり広報活動を進めていく。

(1)「高校生一日司法書士」等のイベント

平成24年度は司法書士制度140周年記念事業として、平成25年度は司法書士の日の記念事業として「高校生一日司法書士」を実施したが、広報的な意義だけでなく、参加した高校生の職業選択や法教育的な意義もあり、高校生の評判は概ね良かったといえる。一方、本事業は、準備に費やす時間等を考慮すると、効果的な広報といえるのかなどの検討課題も残ることから、平成26年度は、「高校生一日司法書士」を改めて検証し、実施については他のイベントの企画も含めて検討したいと考えている。

(2)対外広報ツールの発行・管理

対外広報ツールの発行については、定期的に継続して行うことで着実に周知されるものであることを考慮し、平成26年度も相談事業部ほかと連携して一括管理し、効果的な広報活動を進めていく。また、どの広報ツールを何処へ何部送付するのかについて精査し、見直したい。

(3)静岡大学・常葉大学ガイダンスの実施

静岡大学・常葉大学ガイダンスを平成25年度に引き続き実施したい。平成25年度のガイダンスは、参加者の多くが1年生であったことから、平成26年度は、在学中に司法書士試験の勉強を開始する学生に向けて、司法書士試験についてのアナウンスをより充実するなどの工夫をしたい。

2.対内広報・企画事業~専門性のさらなる向上への取組み

年々多様化する司法書士の業務のなかで、会員の執務に役立つ情報を提供し、専門性のさらなる向上に役立つ取り組みをしていく。情報の提供に関しては、会員特別研修等の実施のほかに、本会通信や同通信に同封する書面等によって行なっているが、より新しい情報を提供したり、執務上の疑問点に関して情報交換したりすることができる司ネットフォーラムなどの活用を促進させたい。

(1)裁判業務推進事業

裁判業務の受託推進を強化するために、裁判業務の経験が十分でなく、受任に躊躇している会員に対し、具体的な事件に関して経験豊富な会員がサポートできる事業を展開したい。
また、司法書士の民事法律扶助に対する意識の向上や民事法律扶助契約の締結及び利用の促進を図りたい。

(2)登記業務推進事業

登記実務に関して会員の執務支援に資する情報や登記制度に関連する最新の情報を提供していく。具体的には、「登記原因証明情報を起案しよう!」を平成25年度に引き続き発行していく予定である。また、中小企業の登記に関するニーズへの対応を含む企業法務等に関する研究を行い、司法書士の有する専門性のさらなる向上を図りたい。
一方、これまでの研究や経験で培った司法書士の専門性を外部団体に対しても積極的にアピールすることによって、司法書士の中小企業支援業務の認知度の向上に取り組みたい。

(3)後見業務推進事業

成年後見業務に関しては、今後も増加するニーズに的確に対応していく必要があるため、平成26年度も後見事務に資する特別研修会を実施する予定である。
また、未成年後見業務に関しては、平成25年度から開始した研究を継続し、会員に対して未成年後見業務に関する情報提供をしていきたい。

(4)財産管理業務推進事業

平成25年度に静岡家庭裁判所及び同支部・出張所に提出した「財産管理研修履修名簿」について引き続き管理しつつ、新規登載者の募集及び追加更新名簿の提出を行なっていく。並行して財産管理業務に関して、直接家庭裁判所から依頼があったのか等について、会員に対するアンケート調査を実施し、現状把握にも努めたい。
また、相続財産管理人や不在者財産管理人の選任は、成年後見業務を通じて必要となることが少なくないことから、平成26年度は、上記名簿を後見業務を行なっている社会福祉士にも活用していただくような取組みを進めていきたい。

3.市民権利擁護事業(対外的活動)~関係団体等との連携

司法書士が社会に対して責任ある職能として存在し、市民の方々に信頼されるためには、これまで以上に地域社会との連携を強化する必要がある。権利擁護の分野においては、関係団体等との連携を通じてお互いの活動を把握し、各分野の専門知識を共有することで、市民の権利擁護の充実に寄与することに繫がるものと考える。
そこで、関係団体等と連携しながら、以下の事業を展開していく。

(1)権利擁護懇話会

市町の高齢者・障害者福祉担当者や地域包括支援センターの職員を対象に、平成23年度から実施している事業であるが、お互いに意見交換することができる貴重な機会となっている。本事業は、参加者も増加していることから、平成26年度もさらに多くの方に参加していただけるよう企画内容を工夫したうえで継続していきたい。

(2)成年後見無料相談会

成年後見事件の申立件数が年々増加している現状に鑑み、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート静岡支部(以下、「リーガル」という)との連携は、これまで以上に重要なものになっている。平成25年度は、リーガルと共同で無料相談会を実施したが、平成26年度はリーガル及び一般社団法人静岡県社会福祉士会とも連携しながら、県内3箇所で合同の無料相談会を実施する予定である。

(3)自死・貧困対策

自死対策については、浜松市、富士市、静岡市などでは行政と連携して自死対策事業が行われているが、ここで得た知識を会員にもフィードバックし、会員の自死に対する意識の向上に努めたい。また、静岡県精神保健福祉士協会と連携し、自死に関するシンポジウムなどを開催したい。
貧困問題については、受刑者の出所後の生活保護の問題等に関して、関係団体との連携を深めていきたい。また、必要に応じて、当会と同じ趣旨目的をもった他団体の活動にも協力していきたい。

(4)三会合同会議

平成25年度に引き続き、成年後見業務等に関する連携を図るためリーガルと一般社団法人静岡県社会福祉士会との間で三会合同会議を開催していく。また、成年後見制度は、平成27年に制度施行から15年を迎える。これまでの15年を振り返り、将来に向けてさらなる制度の普及と発展に寄与するために、平成26年度に三会合同で「成年後見制度15周年記念事業」を実施したい。

4.出張法律講座の開催(法教育事業)

消費者教育の推進に関する法律の制定などにより、消費者教育に関する一般市民の関心が高まっていることから、これまで以上に行政機関や教育関係者との連携が課題となる。高校生法律講座においては、講師派遣候補者ML等で積極的に情報提供し、また、教材等の改訂を図ることで、各講座内容の充実と講師の負担軽減等にも努めたい。
また、一般市民向け講座では、民法改正の出前講座や外部からの要請に基づく専門分野における講師派遣の拡充を図りたい。

(1)高校生法律講座

平成25年度に引き続き、県下高等学校あてに法律講座の案内文書を送付し、法律講座を実施する予定である。法律講座を実施する高等学校の需要を喚起し、それに応えることで事業の継続性を高めていく。同時に、講師候補者の確保と講師のプレゼン能力の向上を図ることも進めていく。また、行政機関や教育関係者等との連携も深めていきたい。
さらに、平成26年度は、奨学金の問題に対する対応として、奨学金に関する法律教室等を実施したいと考えている。

(2)民法(債権関係)改正出前講座

民法(債権関係)改正の審議は大詰めを迎えており、今後、改正の審議 が予定通り進めば、平成27年春の通常国会に「要綱」が提出される予定である。今回の民法改正は、市民の方々の実生活にも影響を及ぼすものであり、市民の方々への法的サービスの提供と同時に司法書士の制度広報としても好機であると考える。司法書士が市民や関係団体から頼れる存在であることをアピールしていきたい。

(3)外部団体からの講師派遣依頼への対応

これまでも外部団体からの講師派遣依頼に応じてきたが、平成26年度は、司法書士の専門性を外部団体に発信し、司法書士を出張講座等においてもより活用していただくことを意識していきたい。

研修部

1.会員研修

専門性の確立、受講しやすい研修環境を求めていきたい。
会員の執務に資する研修、最新の情報を盛込んだ研修の実施を心がけ、他部や関連団体が企画する専門性に特化した研修会と内容・日程の調整を図りながら、研修の企画運営に取り組む。平成26年度も、財産管理研修など、特定の分野についてボリュームのある研修を提供していく。
また、定例の研修を補うものとして会員特別研修を位置づけ、法律、制度、社会の変遷に即した研修の開催を心がけたい。

  • (1)単位制研修

    1.会員研修
    主に登記業務や司法書士制度についての研修を行う。
    2.裁判事務研修
    平成25年度に続き、裁判所提出書類作成業務の強化を柱に研修を実施したい。具体的には、家事調停事件の理論と実務、法人破産などについて企画していく。
    3.財産管理研修
    破産管財事件及び遺言執行等について取り上げていきたい。
    4.会員特別研修
    法改正を中心に時機に合わせた研修を企画する。

  • (2)年次制研修

    日司連会員研修規則によれば、年次制研修は全会員に対し5年に一度年次制研修の履修を義務付けている。該当会員が研修参加の機会を失わないよう、土日2回の開催をしたい。

2.新人研修
(1)配属研修

連続した6週間を実施期間としたい。協力いただける事務所が少ないため、毎年苦慮するのが配属先の選定である。新人にとっては執務現場の空気を肌で感じてもらう貴重な機会でもあるので、ぜひ多くの会員に配属を受入れていただき、新人全員の配属研修を続けていきたい。
平成26年度は、配属研修指導員ガイダンスとは別に、配属研修指導員から配属研修の問題点や改善点などのご意見をいただく場を設けたい。

(2)集合研修

中央新人研修・関東ブロック新人研修で不足する部分を補う内容について講義を実施する。配属研修は新人にとって貴重な体験を得ることができるが、執務を学ぶ上で6週間は短く、限定的な内容に留まる。会則などについて集合研修で学ぶようにしたい。

(3)フォローアップ研修

昨今の経済状況から司法書士試験合格後の新人が二極化している。一方は2年3年4年と長期間補助者として勤務する者、他方は勤務して実務経験を積みたくても勤務できる事務所が無く新人研修終了後即開業する者である。当会の新人研修は、司法書士試験合格後1年内の者を対象としてきたが、後者のような“新人後”の司法書士に対しては、会員研修だけで無く、新人研修の範疇でも対応が必要になってきていると考えられる。事件発表やディスカッションをする場を設け執務向上につなげていきたい。

3.その他

  • (1)特定分野研究グループの支援
  • (2)中央新人研修講師・特別研修チューター派遣
  • (3)避難訓練の実施
  • (4)研修規則等の整備
    平成27年度定時総会にて規則等の整備をするため、検討をしていきたい。

相談事業部

1.「司法書士総合相談センターしずおか」の運営
~ 利用者からのさらなる信頼を求めて

平成26年度の相談センターは、利用者からのさらなる信頼を得て相談機関としてのブランド力を高めることをテーマに掲げ、関係機関や県民の皆さんに「法律問題は司法書士」という認識を深めていただくための事業を進める。そのための具体的目標として、「相談の質の向上」と「受任事件の増加」の二つにさらに力を入れて取り組んでいきたい。

「相談の質の向上」については、①登録して日の浅い相談員に対し改めて相談センターの歴史やルール、常設相談の在り方等を説明する機会を設け、相談センターの登録相談員としての姿勢を共有すること、②相談員研修の規模を拡大し、より幅広い相談に対応するためのスキルアップを継続的に実施すること、③対応に困った時にいつでも気軽に相談できる「相談員のための相談員」の仕組み作りを模索すること等を進めていきたい。

一方、「受任事件の増加」については、平成25年度に引き続いて「HANREPO」の活用、相続登記未了不動産解消事業のさらなる推進、税理士会との合同相談会等を通じた「相続」案件の掘り起こしに一層のエネルギーを注ぐほか、平成26年度の新たな課題として「成年後見」の分野における受任事件の増加を掲げたい。この点の具体策として、電話相談にいわゆるリーガル枠を採用して成年後見に関する相談需要を喚起するほか、平成25年度には実現できなかったリーガルサポートとの共同によるセミナーや相談会の企画も実現に向けて進めていきたい。

また、「相談センターニュース」や「県民だより」をより効果的に活用したり、広報委員会とも連携して会のウェブサイトを改善したりしながら、「登記」「民事訴訟支援」「成年後見」の3分野に関する相談がバランスよく相談センターに持ち込まれること、さらには持ち込まれた相談が確実に受任に繋がるための相談員への司法書士紹介の一層の徹底にも取り組んでいく。

2.他団体との合同相談会の実施・検討

平成27年1月の相続税法改正を控え、相続問題、ことに節税や生前贈与等に関する県民の相談需要はますます高まることが予測される。平成26年度における税理士会との合同相談会では、平成25年度に試行したミニ講演をより積極的に活用し、税理士による「税法改正」、司法書士による「遺言」のふたつをセットにして事前告知を徹底することにより、一層の集客を図っていく予定である。

3.法の日相談・相続登記はお済みですか相談の改善

法の日相談・相続登記はお済みですか相談は、いずれも毎年の恒例事業として、また地域に根差した事業として一定の役割を果してきた一方、最近は恒例化の弊害として事業のマンネリ化を否めない状況にある。

もっとも、両相談会の運営は各支部が中心となって担っていただいているところであり、地域ごとの実情に沿った運営が必要となる。このような事情も踏まえたうえで、両相談会がより地域に密着した効果的な相談会に、また地域ごとに特色のある相談会として開催できるように、各支部長はじめ支部執行部の皆さんとも協議を重ねながら改善策の検討を進めていきたい。

4.奨学金問題への対応

平成25年度に取組みを始めた奨学金問題については、司法書士会内部においても未だ十分にその問題の所在について理解が得られているとは言えない状態である。しかし、多重債務問題と同様「返さない者が悪い」と簡単に片づけられる問題ではないことは、委員会報告添付の資料によっても明らかである。平成26年度は、この問題を司法書士会として対応すべき意義について、本会通信や研修会等の機会を通じて丁寧に会員に説明し、理解を得る活動を進めていきたい。

一方で、社会に対しこの問題の本質を喚起するための活動にもエネルギーを注ぐ必要がある。同じくこの問題に理解を示す県労福協や県労金等の他団体とも連携しながら、労働組合、行政機関、マスコミ、政治家、教員組合、進学希望の高校生など、あらゆる層を対象に奨学金の何が問題であるのか、どのような改善が必要なのかについて多くの皆さんに理解を求める活動を地道に積み上げる1年としたい。

また、すでに着手し始めている県市町議会に対する意見書採択のはたらきかけについては、引き続き政治連盟の協力を得ながら進めていく。

5.消費者問題対策事業

平成26年度も、静大における学生を対象とした講義や消費者問題ネットワークしずおか主催の入門講座など、外部からの要請を受けた講演事業が予定されている。「消費者教育の推進に関する法律」が施行されて2年目を迎え、司法書士としての成果も問われる1年となろう。消費者被害救済に取り組む法律実務家として、法教育委員会とも連携しながら関係機関との一層の連携を進め、消費者問題の分野における司法書士会の信頼を高めていきたい。

また、同じく対外的な活動として、恒例となった消費者問題シリーズ研修の実施、消費者問題通信の発行について、マンネリ化に陥ることのないように新しいアイディアを募りながらより質の高い情報提供に努めていきたい。

一方、対内的活動としては、集団的な消費者被害の回復を図ることを目的として平成25年中に成立した「消費者裁判手続特例法」の研究に取り組みたい。同法は平成28年12月迄には施行される予定であり、この間に政令・内閣府令・ガイドラインも制定される予定ではあるが、司法書士実務にも大きく影響する可能性がある制度であるので、「実務で使う」ことを想定した研究と会員に対する情報提供に取り組んでいきたい。

6.犯罪被害者支援事業

平成25年度に繋がりを得た県警、人権擁護委員、法務局人権擁護課などの犯罪被害者支援に関係する外部団体に対し、司法書士会における犯罪被害者支援事業への取組みをさらに理解いただき、相談者をご紹介いただけるような良好な関係を構築するための情報提供に邁進したい。

また、新たな企画として、消費者問題の分野における「クレサラ懇話会」(現在の消費者問題シリーズ研修)、成年後見の分野における「権利擁護懇話会」に倣い、前記ほかの関連団体に呼び掛けて犯罪被害者支援の分野における懇話会を開催し、各団体の相互理解と連携強化を図りたい。

このような外部団体との連携や広報活動を通じ、4回目となる犯罪被害者支援週間における相談活動を飛躍的に発展させることにも繋がるものと考える。相談会については、支援週間を含む1か月程度に期間を延長することもあわせて検討したい。その一方で、平成25年度に取り組んだ会員に対する犯罪被害への意識喚起を、平成26年度もなお一層継続して取り組む。

「外部との連携強化→相談需要の喚起→事件の受任→実績の広報→外部からの信頼」という図式は、過去の多重債務問題、成年後見の分野、相談センターにおける常設相談など、さまざまな局面で当会が積み上げてきた軌跡と同様である。この循環を犯罪被害者支援の分野においても確立し、実績をひとつでもふたつでも積み上げることができる1年としていきたい。