平成28年1月開催の連合会会長会資料によれば、連合会・司法書士法改正対策部における司法書士法一部改正検討項目は、①使命規定の新設(それに伴い、現行第1条目的規定を廃止)、②懲戒制度の改正(懲戒権者を法務大臣とする他)、③法律相談業務の明確化(現行の5号、7号相談の分化によるひずみを解消する)、④周旋禁止規定(非司法書士等の取締り)の新設である。この内容で平成29年通常国会に上程する、というのが連合会の考えのようである。しかし、現実問題としてその実現可能性は非常に乏しいと言わざるを得ない。平成22年3月臨時総会の司法書士法改正大綱承認から6年経過した現在に至っても、司法書士制度の未来が明るく示されていない現状は残念だと言わざるを得ない。

それでも、私たち単位会は地域社会において司法書士制度がよりよく受け入れられ、司法書士及びその業務が国民の権利擁護に資するものとしてその役割を果たせるよう、努力を続ける必要がある。平成27年度事業報告において、この1年間手探り状態で事業を行ってきたことも否めないと述べたが、会員各位の協力を得て事業を進めたなかで得られたものも少なくない。それらを参考にし、次のとおりの基本的考えに基づき平成28年度事業執行を行いたい。

1.私たちが地域社会から解決を求められている課題に対応するために必要な実力をつける

ここで、「地域社会から解決を求められている課題」というのは、いわゆる「社会問題」といわれるものに限られるのではなく、「司法書士の日常業務として対処すべきもの」をさす。その課題を適切に解決するために必要な実力をつける必要があるのは当然であり、そのための研修・研究活動は欠かせない。

研修部においては、前記目的達成のための、時宜に適した、実力向上に必要な程度の回数の研修会を企画し実施していく。研修会を企画する立場として、会員の関心が持てる現実的なテーマを提供することを基本にしつつ、「超高齢社会の加速」「相続問題への関心の高まり」等社会の変化の中で司法書士が適切に役割を果たすために必要な実力をつけるための研修会も開催していく。

相談事業部においても、相談活動の中心たる相談センターがその役割をきちんとはたすための研修会を行う。相談事業部は今までも登録相談員のための研修会を行っているところであるが、相談したくなる「相談相手」となるべく必要な研修も行う。法律実務家としての実力だけでなく、一流の「相談相手」としての実力もつけることが必要だと考えるからである。

実務家としての、より高度の行動の実力をつけるため、平成27年度から企画広報部の業務研究委員会活動を行ってきたが、本年度はその活動を継続し、年度末にその成果を会員に提供する。大いに期待するところである。
なお、相談事業部においては、相談センターを中心とする相談活動を企画し積極的に実施してきたところであるが、研修研究活動によってパワーアップした会員の実力をこの相談活動を中心として発揮していく。

2.地域社会から解決を求められている課題を依頼者視点に立って見つける

司法書士としての実力を身につけても、それを行使する場面を適切に見つけられていないとするなら、使う場所がない無意味な実力になってしまう。 ともすれば、司法書士法及び施行規則による業務(登記・供託・裁判・成年後見・財産管理)を前面に押し出し、「司法書士はこういうことができます。」と言ってしまいがちであるが、依頼者はこのようなスタンスにあわせて私たちの目の前に登場してくるものではない。私たちは依頼者の視点でどのような課題が存在するのかを探し出さなければならない。

企画広報部の業務研究委員会は、実務的能力を高めるだけでなく、依頼者が必要としている司法書士の役割が何かをさがすことも行いながら活動を行っていく。時には、従来の司法書士の枠を超えた発想・活動も必要になる。必要に応じて、外部団体との共催事業(相談会・シンポジユウム等)を実施することも検討する。また、相談センターに寄せられた相談の分析をつうじても、司法書士の課題をさがしていきたい。

そして、見つけることができた課題に対しては、具体的に発言・活動などの取り組みも行っていく。本年2月に発生した公益財団法人日本ライフ協会問題については対策会議を設置し、「利用者に対し適切な説明会を開催することの申し入れ」を行った。社会の変化の中で突発的に発生する社会問題に対しては、企画広報部を中心に、場合によっては会を横断する組織をつくり機動的対応を行う。

3.地域課題に対応できる存在としてのアピールを行う

今年1月15日に開催した四会(本会・政連・公嘱・リーガルサポート)合同賀詞交歓会では50名の来賓を迎え、静岡県司法書士会及び会員司法書士が地域社会から大きな期待をされていることを実感できた。その一方で、司法書士の伸びしろを含め、まだ認識されていない部分もあるとの感想も持った。制度広報が重要だということである。

司法書士制度と当会の活動をもっと知ってもらえるよう、HO2、マスコミ、SNS等をつうじて広報事業を行う。法教育活動は法知識の啓発活動としても意義があるが、司法書士制度に対する認識理解を得てもらうという広報活動としても重要だとの認識のもと継続して行う。

なお、このように会として積極的に制度広報を実施していくが、制度広報の担い手の一番手は会員各位であることをここで強調しておきたい。自分が依頼者に提供している情報・作業の意味を丁寧に説明し、依頼者の課題を積極的に解決しようとする姿勢を示すこと、くわえて、自分の業務の社会的意義を自覚して業務遂行する姿勢こそが、依頼者・市民に司法書士制度を理解してもらう最高の制度広報なのである。会員各位のご理解を求める。

4.地域社会と連携する

静岡県内の市町との災害協定締結、空き家問題を中心とする行政との連携、あるいは成年後見業務に関する社協、地域包括支援センター、社会福祉士会等福祉関係との連携も引き続き行う。特に、成年後見業務における連携においては、市民権利擁護委員会の活動、並びにリーガルサポート、社会福祉士会との三会合同会議における議論に基づき連携事業を行い、成年後見業務が司法書士業務において重要な存在となっていることを一層自覚していきたい。また、災害協定締結に基づく具体的活動の検証確認作業を災害対策委員会を中心に行う。単なる連携で終わらせないということである。

社会に司法書士制度を理解してもらい、司法書士が社会でその力を発揮するためには、いまや地域社会との連携は欠かせない。幸い、静岡県司法書士会は、歴史的に、市町における登記等相談活動、多重債務問題解決に向けた懇話会開催及び相談活動、さらに、成年後見業務推進のための行政、福祉関係者等との懇話会での交流など、その実績は十分である。本年度も、それぞれの事業部で必要に応じてその関係を深め充実させていく。

以上の事業活動をささえるのが、総務部及び経理部であり、各事業部における会員各位の積極的な活動である。一部の会員だけがかかわっているようでは、これら多種多様な事業活動を遂行していくことは困難である。会員各位の会務に対する理解をえるため、平成27年度と同じく、会員に対する会務説明を実施するなど、本会から必要な情報提供を行っていく。

総務部においては、事業活動が本会及び支部において活発に行われるよう、平成27年度なされた会務財政諸規則委員会の答申をうけて本会と支部との関係を検討していく。さらに、本会の縁の下の力持ちとしての事務局と十分な意思疎通を行い、その力を十分発揮してもらえるようにしていきたい。経理部においては、会員からの大事な会費を意義ある活動に活用できるよう意を尽くし、さらに適切な会計管理につとめていく。

その他詳細については、各事業部計画案にゆずる。

最後に、執行部としては、事業執行に際し、各事業の趣旨を十分に理解・認識し、その趣旨が十分に活かされ実現されるよう工夫して取り組む。会員各位においても、会務に対して積極的・建設的に参加されることをお願いする。

総務部

1.会則・諸規則の整備、会務財政の検討
  • (1)会則、規則、規程類の点検、見直しを行い、併せて、年度途中で制定、改廃があった場合、会員への通知・閲覧の迅速性、利便性を高める。
  • (2)会の財政について経理部とともに中長期的な把握を行い、会則・諸規則の改定などの検討を行う。
  • (3)役員及び委員に対する報酬、日当等についての検討を行う。
2.会員の会務への参加促進

会員への会務説明、連合会・関東ブロック協議会定時総会への傍聴者派遣などを実施し、会員の会務への関心を高め、会の活動に参加しやすい環境を整えて行く。

3.市民窓口運営委員会の活動
  • (1)前年度まで蓄積された苦情対応事例などを分析し、市民の苦情等に対し、組織的に対応できる体制を整えて行く。
  • (2)運営委員の紛議調停手続きの理解を進めるとともに、委員会として紛議調停委員会との連携を検討する。
4.災害対策委員会の活動
  • (1)災害協定の推進及び災害協定締結市町との具体的連携推進。
  • (2)災害時相談Q&Aの整理。
  • (3)東日本大震災被災地相談員派遣。
  • (4)静岡県災害対策士業連絡会をはじめとする各種団体との連携推進。
  • (5)防災訓練の実施。
  • (6)空家対策事業の推進。
5.会員への周知・連絡手段及び役員会・委員会等内部の連絡・協議手段の検討
  • (1)会員への周知、連絡手段としての新システムの導入検討。
  • (2)役員・委員会等内部の連絡・協議手段としての新システム導入検討。
6.事務局体制の強化
  • (1)事務局との意思疎通を十分に行い、事務局機能を高める。
  • (2)会議議事録、事務局保管資料等、保管方法及びデータバックアップの検討。
7.司法書士会館修繕について
  • (1)長期会館修繕計画を策定する。
  • (2)日常点検を十分に行い、修繕必要箇所の把握と迅速な修繕を実施する。
8.会員の登録に関する事項

司法書士登録に関し、登録事務の円滑な運営を図る。

9.業務賠償責任保険の維持・管理
  • (1)司法書士業務賠償責任保険を継続維持し、円滑な運用を図る。
  • (2)新たな契約形態(他の司法書士会と共同して契約する方法、日司連に保険契約を委託する方法)を検討する。
10.住宅金融支援機構等の承継登記にかかる事務管理

平成27年度に引き続き、住宅金融支援機構等の承継登記に関する事務管理を継続する。

11.本会通信の発行

記事内容の検討を行い、内容の充実に努める。

12.他団体との情報交換並びに交流

他団体との交流を深め、情報交換並びに意見交換を行っていく。

経理部

1.一般会計会費及び特別会計会費(会館修繕特別会計並びに自然災害相談活動特別会計)の適正な収入の確認と管理

2.各事業支出(各部会・委員会等)および各管理費(特別会計支出を含む)の適正な執行状況の把握

3.会員数の増減による会費収支への影響の検討

4.新しいシステムを利用した会費納入方法・管理方法の検討

5.旅費等の支払い方法、支給対象についての検討

6.収集したマイナンバーの適切な管理

企画広報部

1.継続事業のブラッシュアップ

平成28年度は、基本的に平成27年度に取り組んだ各事業を踏襲していくことになるが、企画広報部全体としては次に掲げる継続事業の一つひとつにより丁寧に取り組んでそのすべてについてブラッシュアップを図り、確実な成果を上げることをテーマに掲げることとしたい。

(1)業務研究委員事業

平成28年度は、13グループの成果が問われる年となる。各グループに所属するメンバー全員が主体性をもち、常に目標達成を意識しながら1年間の研究活動に邁進されることを期待し、お願いする次第である。また、必要に応じて新たな研究グループの追加にも対応していきたい。

なお、13グループの研究の成果は、次回の第96回定時総会において報告書に取りまとめ、会員の皆さんにご報告することを予定している。

(2)広報事業

HO2の発行、県民だよりへの広告出稿、ビジネスレポートへの寄稿については常に読み手を意識し、読み手が必要な情報をわかりやすく届けられているかを意識した事業執行に取り組んでいく。

また、平成27年度から新たに始めたフェイスブックについては、会員の皆さんにもご協力をいただきより多くの関係機関の皆さん、県民の皆さんにフォローいただけるように周知活動を徹底していきたい。また、投稿記事についても、皆さんから情報やアイディアをお知らせいただきたい。

(3)法教育事業

平成28年度も高校生、シニアクラブ、親子の三つを柱に、法教育事業を通じた司法書士の広報活動という視点で各事業に取り組んでいきたい。このうち、シニアクラブについては統一教材の冊子化を進め、地元の会員に気軽に講師をお引き受けいただける環境整備に努めることとする。また、好評の親子法律教室は夏休みと春休みの2回開催へと拡充する予定である。

法教育事業が活性化する一方で深刻化しているのが、講師不足という課題である。法教育委員会内において抜本的な対策を図らなければならないが、会員の皆さん、特に若手会員の皆さんには、法教育事業が司法書士の活用につながる地道な広報活動の一環であることをご理解いただき、担当委員からの協力要請にご快諾いただくことを強くお願いする次第である。

(4)社会問題対策事業

生活困窮者自立支援事業の分野における更なる連携強化を進め、この分野における司法書士の確固たる存在意義を築くことができる1年としていきたい。また、成年後見の分野においても、リーガルサポートの協力を得ながら県民の皆さんのこの分野における需要を喚起することに努めるとともに、多くの会員が成年後見業務に関心を持って取り組むことができる環境を整備していきたい。

一方、新たな社会問題が発生した際には、企画広報部において迅速・柔軟に対応することとなるが、その際には部や委員会の枠を超えて多くの会員の皆さんにプロジェクトチームへの参加要請をさせていただく予定であるので、ご協力をお願いしたい。

2.新規事業の企画

一方、新規事業として次のテーマの企画、運営に取り組むことを予定している。

(1)法の日記念事業

法の日記念事業としてはこれまで、相談事業部所管の下で各支部における相談会の実施を中心に進められてきたが、相談事業部からの要請を受け、平成28年度は新たな企画として法の日記念イベントを開催する予定である。
具体的な構想としては、県下のSBSマイホームセンターにおいて毎年10月の日曜日にイベントを開催していることから、3会場程度をピックアップして会場内に県司法書士会の無料相談ブースを設置するほか、来場者を対象に「遺言セミナー」「法律クイズ」「紙芝居」(親子法律教室の教材を使用)等の企画を実施するほか、静岡新聞及びSBSラジオでこれらのイベントの告知や司法書士会の活動を広報したり、依頼者の声を取り上げてもらったりすることによって制度広報に寄与することを予定している。

(2)広報グッズの製作

県司法書士会や各支部では、行政機関や関係機関の呼びかけに応じて街頭における啓発活動に参加することも少なくない。また、(1)のイベントや各種シンポジウム、相談会のような場で、私たちが県民の皆さんと直接交流を持つ機会は、今後ますます増加するものと考えられる。
そこで、簡易な広報グッズを製作してこのような機会に無償頒布することでも「司法書士」の認知度アップに少なからず貢献できるのではないかと考え、平成28年度中に試験的に導入することを予定している。

(3)ホームページの改良

平成27年度中にホームページの使い勝手について広報委員会内で協議済みであるため、平成28年度予算で改良のための費用を予算計上し、年度内に必要な作業を完了させることを予定している。

研修部

1.会員研修

当会が今後も地域社会からの信頼に応え続けるためには、会員一人ひとりが質の高い法的サービスを提供し続けていく必要がある。そのためには、司法書士に求められる基本的姿勢、能力、職業倫理等を個々の会員が保持し、さらに専門性に研きをかけるための努力を惜しまないことが求められる。このことは、法律実務家である以上、当然の責務であると考える。

平成28年度も研修事業が会員各人の自己研鑽の機会となるよう有益な研修会を企画していく。

(1)単位制研修

引き続き司法書士としての使命や職責を全うするために必要とされる専門的知識の蓄積とその知識を活用できる実務のスキルアップを図る研修会を開催していく。併せて、法律実務家としての責任感や倫理観を養う趣旨を盛り込むことを意識したい。

平成27年度の単位制研修は、特定の分野に偏らず会員全体の執務に役立つことを目的とし、多くの会員が参加したくなるようなテーマの選定を行ったが、平成28年度は、相続税法の改正や超高齢化社会の加速化等により司法書士の活用がこれまで以上に期待される「相続・遺言」などの特定の分野について、複数回実施することを検討したい。また、信託、財産管理に関する研修会や裁判実務に関する研修会などもバランスを考慮して企画していく。

なお、平成28年度は、当会会館から遠方に事務所を有する会員が研修会に参加しやすい環境を整備するために、同時配信による研修会を企画し、その運営体制を整えたい。

(2)年次制研修

年次制研修に関しては、対象となる会員全員に対し、強く参加を要請したい。平成28年度も対象会員の研修参加の機会を確保するために土曜日と日曜日の2回にわたり開催する予定である。

2.新人研修

登録前の新人及び登録後間もない会員に対し、可及的速やかに当会会員に追随し得る体系的な業務知識と職能としての規律及び責任を自覚させることで、意欲的に業務に取り組む司法書士を早期に育成することを目的に、以下の事業を行っていく。

(1)配属研修

配属研修については、これまで通り連続した6週間を実施期間とする。司法書士としての職務を遂行するためには知識の習得だけでなく、執務にあたる姿勢や方針の決定、依頼者への説明など、事務所における日常の実務に触れ、経験することが貴重な機会となる。配属研修指導員の負担は大きいものがあるが、今後も配属研修の趣旨をご理解いただき、多くの会員に指導員として応募していただくことをお願いする次第である。

なお、均一な水準の配属研修を実施するために、配属研修指導員へのガイダンスも引き続き検討したい。

(2)集合研修

新人集合研修は、新人が比較的早期に登録できるよう司法書士の職務を遂行するために最低限必要とされる実務上の知識や相談技法、倫理等の習得を目的とした研修会を開催する。

具体的には、中央新人研修、関東ブロック新人研修で不足する分野を補う研修となるが、講義内容が重複していることや研修予算の効率的な配分、司法書士会への帰属意識を養うこと等を考慮して企画していく。また、限られた期間の配属研修を効果的なものにし、かつ配属研修を補う研修とすることも意識して企画したい。

(3)フォローアップ研修

現在、実施している新人集合研修は、司法書士として必要とされる専門的知識の習得や司法書士制度に対する理解を促すカリキュラムとなっているが、受講者が登録前であるためか、研修の真意が登録後の司法書士実務に十分に生かされていない可能性もある。司法書士制度が今後も市民から長期的に支持されるためには、司法書士登録前の新人だけでなく、登録間もない司法書士に対しても、専門的な知識の蓄積と業務のスキルアップを図るための研修が必要であると考える。

そこで、平成28年度は、登録3年未満の新人会員を対象とし、平成27年度に引き続きフォローアップ研修を開催する。

近年、中央新人研修、関東ブロック新人研修の中から消費者事件や債務整理事件等の特定の分野の取扱いが大きく減少していること等を踏まえて、平成27年度に実施したフォローアップ研修を見直す作業を行いたい。

なお、日司連が平成27年度から導入している「新入会員研修プログラム<試行版>」に関する情報収集は、引き続き行うこととし、体系的な新入会員研修について検討していく。

3.その他

中央新人研修や関東ブロック新人研修、特別研修の講師やチューターの派遣を引き続き行う。また、支部との連携を強化し、会員の単位取得状況や各支部における単位取得割合などの情報の共有を図っていきたい。

相談事業部

1.「司法書士総合相談センターしずおか」の運営
(1)電話の常設相談を3人体制に

司法書士総合相談センター静岡(以下、「相談センター」という。)は、法務局、市町役場、交番、金融機関等、県内の様々な機関・団体から高い信頼を得ており、事業報告にもあるように、例年4000件前後の相談を受けている。この信頼を維持し、高めていくには、地道ではあるが、相談者にとって具体的な解決につながるよう、一つ一つの相談に対して適切に対応することが王道である。

ところで、相談件数の増加は、常設相談の相談員にとって大きな負担になっているとの指摘を受けてきた。特に、電話による常設相談の相談員は、1人当たり平均7件の相談を受けており、日によっては、息をつく間もないほど電話が鳴り、相談票に記入する余裕がないことも珍しくなかった。

そこで、相談センターでは、電話による常設相談について、これまで2名の相談員で対応してきたが、本年度からこれを3名で対応することにした。これにより、相談員同士で互いにアドバイスし合うことが可能になり、より充実した相談対応、あるいは相談の質の向上が図られるものと考えている。また、副次的には、相談票の充実、相談員の技量向上やメンタルヘルス対策等の効果もあると考えている。

(2)相談票の集計結果の活用

事業報告等にあるように、相談センターに寄せられた相談の一つ一つについて、個人を特定できる情報を排除したうえで、相談内容の集計・分析を行ってきた。その結果は、これまでも本会事業に活用されており、例えば、相談センターの相談票から相続に関するものをピックアップして集計分析したHANREPOを公表し、マスコミに取り上げられることによって潜在的相談需要の喚起につなげたり、警察から紹介された相談の集計分析に基づいて、警察との連携事業の深化・強化にも一役買ったりしてきた。

今後は、1枚1枚の相談票の内容が充実することによって、集計結果による現状の把握がこれまで以上により精緻なものになり、もって本会の様々な事業や研修の内容にも有益な効果をもたらすものと考える。また、本年度後半以降には、集計結果を活用した広報または対外事業を展開したり、本会や各支部に設置されている各業務研究委員会から要望があればその研究に活用できる情報を提供していきたい。

(3)その他の活動

相談センターの運営に欠かすことのできない当番表の作成や相談員登録者の増加、技量向上の機会の提供など、土台や礎となる活動を、多くの会員や担当委員の協力を得て、今年度も地道に、かつ、着実に遂行していく。

特筆すべき事項としては、まず相談員向けの研修にアサーティブトレーニングを取り入れていく予定である。アサーティブとは、「自己の要求や意見を、相手の権利を侵害することなく、誠実に、率直に、対等に表現すること」と説明され、相談員の相談スキルの向上はもちろん、そのメンタルヘルスや職務中の交渉スキルとしても活用できるものと考えている。また、例年開催している相続何でも相談会の他、相続をテーマとして法務局との連携事業など、新たな対外事業についても、他の事業部と協力して対応し、相談センターの充実につなげていきたい。その他、民事一般に分類される相談が多い一方、司法書士が書類作成や代理業務を通じて民事紛争の解決に当たるケースが司法統計上伸び悩んでいることを踏まえ、ふらっとや裁判所の民事調停の活用をアピールしていく予定である。

2.女性相談会の実施

平成27年度に実施した女性相談会を、その結果を踏まえて開催回数や運営方法等に改良を試みつつ、今年度も引き続き実施する。本事業は、NHK等のマスコミからも注目されており、相談需要の喚起につながるものと考える。

なお、札幌会では女性司法書士による常設相談が実施され、平成26年度には年間約550件の相談を受ける等、実績を残している。本会の女性会員は60名弱であり、本会においてすぐに女性会員による常設相談実施というわけにはいかないが、他会の活動を参考に、将来的な本事業のあり方についても、相談会開催と同時進行で検討したいと考える。

3.「相続登記はお済みですか相談」の実施

例年10月と2月に、各支部に依頼して特設相談(法の日記念、相続登記お済みですか)を実施していただいてきた。この2つの特設相談に関しては、その相談件数の点から、改革の必要性が指摘されてきた。そこで、本会は、本年度から、後者すなわち2月の相続登記お済みですか相談にしぼって特設相談の開催を依頼することにした。既に昨年末にはその旨の案内を各支部長に文書で案内しているところであるが、各支部におかれては、支部の実情に即した形で特設相談の開催にご尽力願いたい。

4.消費者問題対策事業

今年度も、消費者問題シリーズ研修を実施し、県内の消費生活相談窓口との連携を強化・深化していきたい。また、消費者問題ネットワークしずおかと連携し、同ネットワークが開催する事業に協力していきたい。その他、特殊詐欺問題への取り組み、奨学金問題への対応、消費者法の大型改正作業への対応等、時々刻々と発生する消費者問題について、タイムリーに事業を遂行していきたい。

ところで、消費者問題ネットワーク主催の消費者問題事件を題材にした事例検討会が、3か月ごとに本会の会館において開催されている。事例を題材にしており、かつ、少人数で議論する形式で行われているもので、このような場に会員が出席し、知識や技量を深めていただけるようにしていきたい。また、消費者問題について、会員がより身近に感じてもらえるよう、あるいは民事紛争事件の受任につながるよう、独立行政法人国民生活センターの見守り新鮮情報等を会員に提供していくことを検討したい。

5.犯罪被害者支援事業

今年度は、平成27年度に引き続き、犯罪被害者支援特別相談の実施、子ども110番の事業所推進事業を進めていきたい。なお、前者については、相談件数が低迷していることから、相談会の開催方法について改良を加えて実施したい。
その他、今年度は、いじめ等による子どもの犯罪被害をテーマとし、関係機関との連携を深める事業を行いたい。

6.ふらっとによる裁判外紛争処理事業

これまで同様、利用申し込みされた事件について、適切かつ丁寧に対応し、ふらっとに対する信頼の構築に努めていきたい。

ところで、今年度は、ふらっとの体制について変更を加えることを検討し、できるものから順次実施していきたい。検討する変更事項の一つは、現在、その利用が140万円以下の民事紛争に限定されているふらっとについて、弁護士の関与を受け、すべての民事・家事紛争を対象とすることができるようにしていくことである。また、現在、特別会計で運営しているふらっとを、本会の一般会計で運営するよう変更することも検討していきたい。