金利規制・総量規制の緩和に反対する会長声明
1・出資法の上限金利の利息制限法所定利率への引下げ
2・貸金業規制法のみなし弁済規定の撤廃
2006年12月に成立した改正貸金業法によって獲得したふたつの成果は、署名を寄せた全国340万人の個人、地方自治法に基づく意見書を採択した43都道府県議会・1136市区町村議会の声であった。
法改正は、一貫して利息制限法の潜脱を許さなかった最高裁、強い姿勢で改正への意欲を示した金融庁、貸金業界からの抵抗にも屈しなかった国会議員と、司法・行政・立法の三権が一丸となって取り組んだ成果でもあった。
法改正から8年。
官民を挙げた「多重債務問題改善プログラム」の取組みもあり、年間の自己破産者は18万4000人(平成18年度)から10万人(平成23年度)に減少(司法統計年報)、負債を原因とする自殺者も1973人(平成18年度)から998人(平成23年度)と半減した。 当会が運営する「司法書士総合相談センターしずおか」に寄せられる多重債務相談も、ピーク時の年間1807件(平成22年度)から368件(平成25年度)まで減少しており、その成果は確実に実を結んでいる。
今、政府与党関係部会では、上限金利・総量規制緩和の検討が始まったと報道されている。
しかし、高金利による過剰な債務負担が招く貧困、自殺、自己破産等が蔓延したかつての日本への回帰を、多くの国民は望んでいない。
法改正後の成果を俯瞰すれば、貸金業界の利益を除き、高金利を復活し、信用緩和策を進めなければならない立法事実も存在しない。
国民的総意によって支えられ、健全な信用市場の構築に大きく貢献してきた改正貸金業法は、「見直し」ではなく、「一層の推進」が望まれているのである。
長年にわたり多重債務被害の法的救済に携わってきた当会は、安易な金利規制と総量規制の緩和に対し、断固として反対するものである。
平成26年5月27日
静岡県司法書士会 会長 西 川 浩 之