割賦販売法の抜本的改正を求める決議
決議の趣旨
割賦販売法改正にあたっては、クレジット会社につき、共同責任規定の導入や不適正与信防止義務を明確化する等、民事効の導入を中心とした、消費者保護の観点に立った抜本的改正を行なうことを強く求める。
平成19年5月26日
静岡県司法書士会 第86回定時総会
提案理由
近時、住宅リフォームや寝具、呉服、貴金属など高額商品の次々販売など、消費者の資力等を無視した悪質商法被害が大きな社会問題となっているが、これらの被害は、クレジットカードを利用せず、契約書を用いる個品割賦購入あっせん取引(以下「契約書型クレジット」という)に集中している。
このような被害が発生する背景としては、クレジットシステムにおける構造上の問題点の存在※及び現行割賦販売法には以下のとおり、こうした問題点に対応する規定が存在しないことが指摘されている。
※たとえば、クレジットシステムは、(1)商品版売と代金回収を分離するシステムであり、顧客の支払能力を無視した販売行為を助長する危険性を有していること (販売店は即時クレジット会社から代金の支払を受けることができる)や、(2)クレジット会社の利益は、販売店からの契約によってもたらされるので、クレジット会社が、不正な勧誘行為等を行わないよう販売店を管理等することは期待できないことなどが挙げられる
現行割賦販売法における問題点
- 1.クレジット会社が不適正与信を防止する動機付けとなる規定がないこと
①現行法の「抗弁の接続」規定は、将来の支払を停止する効果に留まり、クレジット会社は既に支払いを受けた金員の返還までする必要がないとされていること
②加盟店管理責任(不適正与信防止義務)は通達上の要請でしかないこと
③クレジット会社に対する行為規制(禁止規定)がないこと - 2.過剰与イ言防止義務違反につき民事規定がないこと
- 3.契約書型クレジットについては、①認可・登録等が不要であること、②クレジット会社に契約書面の交付義務がないこと
- 4.害州武要件・指定商品(役務)制度をとるため、これに該当しない取引は抵の保護が受けられないこと
現在、産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会において割賦販売法改正についての議論がなされており、法案成立は平成20年4月とも言われている。
割賦販売法の改正にあたっては、被害現状・クレジットシステムの問題点に鑑み、消費者保護及び現実の被害回復の観点から、単なる行政規制に留まらず、実効力ある民事規定の導入が必要不可欠であるところ、現在までの議論の状況をみると、情勢は厳しく、このままでは上記改正が実現できない恐れがある。したがって、日々の業務を通じて現実の被害の状況を知る立場にあり、クレジットシステムの問題点について十分な認識をもっている我々司法書士の現場の声を割賦販売法の改正の過程で関係者・関係機関に対して十分に伝えることが必要であり、そのためには、司法書士会として、意見の表明・世論形成等、改正実現に向けて取り組む必要がある。
よって、上記の決議がなされることを求める。
以 上