戸籍謄本・住民票の写し等の交付請求に関する会長声明
令和3年6月 1 8 日に閣議決定された「規制改革実施計画」が示すとおり、行政手続におけるデジタル化は喫緊の課題です。
しかしながら、市民がする行政手続の代表例ともいえる戸籍謄本・住民票の写しの交付請求は、一部の地方自治体においては電子申請及び電子納付ができるものの、その利用実績は低迷しているところです。
一方で、司法書士等の士業者は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合などに、戸籍謄本・住民票の写しの交付請求を継続的に行っており、かつ、ほとんどの士業者は士業者団体による電子証明書も発行されているため、直ちに戸籍謄本・住民票の写しの交付請求のデジタル化に対応することができます。
したがって、行政手続のデジタル化を実現するためには、当事者本人だけでなく、士業者も対象とすることが相当です。
これにより、行政側の事務手続の負担軽減とともに当事者としても郵送請求費用、小為替手数料を削減することができるうえ、請求に係る時間も短縮することができます。これらのメリットは、社会問題ともなっている相続登記の未了問題の解消にもつながるものと思料します。
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の制定により、すべての都道府県には「電子自治体推進協議会」が設置され、県と市町の緊密な連携により、行政サービスの向上と簡素で効率的な行政システムの確立を目指した電子自治体の実現が目指されているはずですが、実際の現場では、戸籍謄本の交付請求に関しては法務省、住民票の写しの交付請求に関しては総務省、それぞれの交付請求をする窓口に関しては各地方自治体と、さまざまな所管に横断されており、実現するための準備が進んでいないように見受けられます。
よって、戸籍法第10条の2第3及び住民基本台帳法第12条の3に基づき士業者がする戸籍謄本・住民票の写しの交付請求につき、全国の地方自治体において電子申請及び電子納付の実現を求める会長声明をここに表明します。
令和3年8月25日
静岡県司法書士会
会長 白井聖記