司法書士制度150周年を迎えて
司法書士制度150周年を迎えて
令和4年8月3日、司法書士制度は150周年を迎えました。 明治5年にわが国最初の裁判所構成法というべき司法職務定制が定められ、司法書士制度は代書人制度として始まりました。昭和10年に司法代書人から現在の司法書士へ名称が変更になりました。昭和53年に職責規定の新設 、 国家試験の導入、 昭和60年に社団法人公共嘱託登記司法書士協会の設 立、平成14年に簡易裁判所における訴訟代理権の付与、事務所の法人化制度の導入、令和元年には司法書士の使命規定が明定されるなど、司法書士制度は大きな発展を続けてきました。
日本の経済社会は構造改革、高度成長期などを経て、不動産取引、商業取引が飛躍的に増加し、大きな発展を遂げてきました。この経済取引の発展とともに取引における迅速化・円滑化・安全性の向上、そして 事前規制型の社会から事後監視・救済型の社会への移行とともに司法制度の機能の充実化の要請が高まりを見せました。司法書士はこれらの社会の要請に応えながら、
不動産登記、商業・法人登記、裁判事務などの業務を中心に制度改革を続けてきました。近年では、新たな構造改革であるデジタル化へ対応すべく環境整備を進めています。
また、社会が複雑化・多様化し、様々な社会事象が発生する中で多重債務問題への対応、成年後見制度の普及促進、法教育事業、災害時における相談、経済的困窮者支援、空き家・所有者不明土地問題への対応など活動範囲を大きく広げてきました。
司法書士の業務や活動は、一貫して司法制度へのアクセスの拡充、そして司法制度の一層の活用が権利擁護に通ずるとの考えを原点としています。令和元年の司法書士法改正による「司法書士法の定めるところによりその 業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として国民の権利を擁護し、 もって自由かつ公正な社会の形成に寄与 する 」との使命規定の明定は 、 司法書士の こ れ ま で の 活 動 に 対 す る 社会的な 評 価 と こ れ か ら の 司 法 書 士 の活動への期待が込められていると考えています。
これからも権利擁護の担い手として様々な社会変革に対応し、また社会問題に的確に対応することを継続し 、 皆様とともに歩んでまいります。 令和4年8月3日
静岡県司法書士会
会長白井聖記