静岡市における消費生活センターの縮小化に反対する会長声明
2009年9月の「消費者庁」発足を契機とし、地方における消費者行政の充実を求める声が高まった。国は2008年度からの3年間を地方消費者行政強化のための“集中育成・強化期間”と位置付け、合計260億円の「地方消費者行政活性化基金」を造成し、消費者行政の強化に取り組む地方公共団体を集中的に支援してきた。
予定の3年間を経過した後もさらなる地方消費者行政の活性化を求める動きは衰えず、国は2012年度にさらに60.2億円の基金を上積みしたほか、本年1月には「地方消費者行政強化作戦」を定めている。
「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制を全国的に整備」することを目的とする同作戦では、①相談体制の空白地域解消、②相談体制の質の向上、③適格消費者団体の空白地域解消、の3点が当面の政策目標として掲げられており、最長で2027年度までの財政支援スキームが示されている。
さらに、②の具体策として、消費生活センターの設立促進と消費生活相談員の一層の活用が掲げられており、第186回国会において成立した改正消費者安全法(不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案)において「消費生活相談員」が法律に明文化されたところでもある。
このように、地域における質の高い消費者相談窓口の整備が国全体の方針として推進されている最中、静岡市では消費生活センターを「課」相当から「係」相当へと実質的な縮小化を進める動きがあるとのことである。
政令指定都市として、県内の周辺市町における消費者相談にも広域的に対応すべき立場にある静岡市において、国が掲げる地方消費者行政強化の方針に逆行する消費生活センターの実質的縮小化が進められる事態は、およそ容認できるものではない。
消費者被害の未然防止、法的救済に携わる当会は、今回の静岡市の動きに断固反対するものである。
平成26年12月18日
静岡県司法書士会 会長 西 川 浩 之